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アベノミクスで人手不足に追い込まれる中小、「新卒も中途も技術者が入ってこない」

6/12(月) 15:02配信

日刊工業新聞電子版

■大企業の採用積極化、技術者採用が困難

 大企業の雇用環境が明るさを増す一方で、中小企業の人手不足は深刻さを増している。中でも技術者の不足が目立ってきた。少子高齢化が進展するなかで、その厳しさは今後も増すとの見方が多い。人材確保のため、中小はあの手この手で対応していく必要がある。人手不足が常態化する時代が遠い将来ではなくなりつつある。そこで中小の人手不足の現状と課題、解消策などを探った。

 メッキ加工を手がける田口電機工業(佐賀県基山町)の田口英信社長は、「アベノミクスで大企業の収益が拡大するのに比例して、採用は厳しさを増す」と強調する。この言葉は今の中小の置かれた現状を端的に表している。大企業が採用に積極的になればなるほど、中小は人手不足に追い込まれていく。

 精密プラスチック成形金型を設計・開発・製造・射出成形加工するホクト精工(長野県千曲市)は、毎年、新卒を数人採用してきたが、2017年春の入社はゼロ。その後、大手採用ナビを使い6月までに4人を採用した。

 葵工機(岐阜県坂祝町)の納土総(のうどさとし)社長も「競争が激しい。近隣でも好条件を提示する会社も多く、ほとんど応募が来なくなった」とし、深刻度合いは一段と増してきている。

 同社は、航空機部品の熱処理後の歪(ゆが)みを取る板金加工が主力で、ウオータージェット(WJ)加工も手がける。かつては「航空機やWJ加工に新しさを感じてくれるのか、多い年は技術者1人に10人が面接に来た時もあった」(納土社長)と振り返る。

 東成エレクトロビーム(東京都瑞穂町)の上野邦香社長は、今後予定する新卒採用について「実力のある地元企業でも会社説明会の申込者が4割来ないという情報を耳にする。当社の新卒採用も辞退者を想定して活動しなければならない」と危機感を募らせる。

 製本システムを手がける太陽精機(京都市南区)は、毎年、新卒を20人程度採用している。しかし、堀英二郎社長は「特に技術系の採用が難しく、今年は数人にとどまった」と嘆く。広伸(大阪府門真市)の水口政治社長も「新卒も中途も技術者が入ってこない」として、技術者不足には、ますます拍車がかかってきている。

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