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[ニュース分析]文在寅大統領、働き口解決法として「社会的大妥協」を提示

6/12(月) 17:49配信

ハンギョレ新聞

6月抗争記念演説で提起 経済民主主義の実現を目標に 両極化・雇用問題解決へ意志明示

 「私たちが跳躍する未来は、少しずつ譲歩して、荷物を分け合い、格差を減らしていく社会的大妥協にあると私は確信します。真の労使政大妥協のため、すべての経済主体の参加をお願いします」

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「経済民主主義実現のための社会的大妥協」を新政府の国政課題の前面に掲げた。10日に行った6月民主抗争30周年記念演説を通じて「社会的大妥協は、容易ではないが必ずやり遂げなければならない課題」として「大統領と政府ができるすべての努力を尽くす」と強調した。

 文大統領が「社会的大妥協」をイシューとして持ち出したのは「災難水準に達した両極化」(チャン・ハソン大統領府政策室長の5日の記者懇談会)を解決する近道が「経済主導者の譲歩と妥協、連帯と配慮」にかかっているという普段からの信念に関連したものと見られる。大統領府の核心関係者は11日、ハンギョレとの通話で「両極化の解決法は良質な働き口を作り出すところにあり、そのためには財界・労働界・市民社会と政府の“大妥協”が先決されなければならないというのが大統領の確固たる哲学」とし「12日の国会施政演説でもこのような哲学を明らかにするだろう」と伝えた。

 文大統領のこのような考えは「韓国型社会的対話機構の設立」を大統領選挙での雇用公約の冒頭に配置したことにもよくあらわれている。共に民主党のホン・ヨンピョ議員とチョ・デヨプ雇用労働部長官候補者が起草したこの公約は「韓国型社会的対話機構」の役割を「雇用創出と労使関係再確立のための社会的大妥協のモデル創出」に置き、「両極化解消とワーキングプア層の保護のための雇用福祉、社会的セーフティネット強化」を議題として扱うとした。注目すべき部分は、この機構の地位を「大統領が直接参加する社会的対話体」と規定した点だ。大統領が委員長を務める雇用委員会を、社会的大妥協のための対話機構化する方案を念頭に置いたもので、長官級が委員長だった既存の「労使政委員会」より格が高い。

 こうした社会的合意モデルは、1998年1月に大統領諮問機構としてスタートした第1期労使政委員会に遡る。1997年の外国為替危機直後に任期を始めた金大中政権は「労使政大妥協」を通した経済危機克服を目標に、韓国経営者総協会と二大労総を参加させて労使政委を始めたが、1998年2月「健康保険拡大および全教組合法化」と「整理解雇・派遣勤労制導入」を対等交換する初めての合意後に跛行を繰り返し、李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政府を経て社会的合意機構としての機能を喪失した。問題は現在の両極化と雇用問題は「企業対労働」のみならず、「大企業対中小企業」、「大企業労組対中小企業労組」、「正規職対非正規職」の利害関係が複雑に絡まっていて、過去のような「一括合意」方式での妥協が難しくなったという点にある。

 文大統領は、今の労使政委よりは大統領が直接委員長を務める「雇用委員会」にこのような社会的合意機構の機能をゆだねるものと見られる。ホン・ヨンピョ議員は「労使政委は必要だが、さらに大きく実効性のある社会的合意のためには、参与政府(盧武鉉政権)時期の財界と労働界、市民社会、宗教界、女性界があまねく参加した高齢化・少子化対策連席会議のような新しい機構が必要だ」として「大きな枠組みの社会的合意機構機能は雇用委が引き受け、労使政委は労使懸案に集中する“ツートラック”方式で運営されるだろう」と伝えた。

 実際、先月16日の閣僚会議を通過した「雇用委設置および運営に関する規定」によれば、文大統領が直接委員長を務め、汎政府次元の雇用政策を総括指揮して、副委員長と当然職・民間委嘱委員30人で構成された委員会が、雇用政策の企画と発掘、部署間政策調整などを議論することになる。当然職委員には、関係部署および国策研究所長と大統領秘書室の雇用首席秘書官が、民間委員には労使団体、民間専門家だけでなく非正規職、青年、女性などを代表する人々が参加して、労使民政を合わせる常設協議機構として運営することになる。

 しかし、専門家たちは中央次元でなされる「ワンショット型社会的大妥協」に埋没すれば、過去の労使政委の失敗を繰り返す可能性が大きいと憂慮する。韓国労働研究院のチャン・ホングン、パク・ミョンジュン研究委員は、4月に「月刊労働レビュー」への寄稿文で「政府が一方的に推進することが負担になる政策懸案のために、正当性確保の通路として委員会(社会的対話機構)を利用する形は捨てるべきだ」として「政府が社会的対話に関心を持って支援はするものの、労使政間の実質的で自律的な対話を奨励する方向に旋回する必要がある」と明らかにした。

 「上層単位」の対話ではなく、業種・地域など多様な次元の社会的対話と妥協が必要だという指摘もある。造船産業など産業別構造調整事例のように「中間」単位の労使政対話が先行することが必要だという主張だ。韓国労働研究院のチョ・ソンジェ労使関係研究本部長は「大企業労組の実利主義を制御して、中小企業・非正規職との両極化を克服するためにも中範囲(産業・業種別)水準での交渉・協議を促進することが役立つだろう」と話した。

イ・セヨン、パク・テウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:6/12(月) 17:49
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