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サムスンの携帯電話作る過程で視力失った韓国青年が国連で発言

6/12(月) 7:17配信

ハンギョレ新聞

ジュネーブで開かれた国連人権理事会で サムスン・LG下請け会社のメタノール失明事件を証言 「誰もメタノールが危険とは言わなかった サムスン・LG・韓国政府が責任を取るべき」

 「今皆さんの手にあるもの(サムスン・LGの携帯電話)に、私の人生が込められている」

 9日午前(以下現地時間)スイスのジュネーブで開かれた35回国連人権理事会の会議場に29歳の韓国青年がマイクの前に座った。彼は2015年1月に、わずか半月の間、京畿道富川(プチョン)にあるサムスン携帯電話下請会社で働いているうちに、メタノール中毒で視力を失った労働者のキム・ヨンシンさんだった。

 演説に向けて、キムさんは演説する内容の英語を発音通りに大きなハングル(韓国語の文字)に移し替えて、紙がくしゃくしゃになるまで何度も練習した。緊張した表情の彼が、たどたどしい英語で演説を始めると、会議場にいた百人あまりの各国代表たちの目が彼に向けられた。

 キムさんは「皆さんの携帯電話を作って、視力を失い、脳損傷を負った。サムスン電子3次下請け会社で1日12時間も、昼夜を問わず2週間の間1日も休まずに働いた」とし、「私たちは使い捨ての紙コップのように使われては捨てられ、誰も製造業派遣が違法だと、メタノールが危険だとは私たちに言ってくれなかった」と明らかにした。

 彼はさらに、「韓国には私のような青年が少なくとも5人はいる。何の回答も、何の謝罪も、何の補償もなかった。政府にも、企業にも正義はなかった」と強調した。彼は「私たちが望んだのは、他の人たちのように幸せな人生を送ることだった」としたうえで、「サムスンやLG、韓国政府は責任を取るべきだ」と主張した。その理由として「人の人生は、私たちの人生は企業の利潤よりも重要であるからだ」という言葉で、演説を締めくくった。

 現場にいた民主労総のリュ・ミギョン国際局長はインターネット・メッセンジャーを通じて「キムさんが『誰もメタノールが危険だと言ってくれなかった』と発言した部分で、会議場ではため息が漏れた」とし、「各国の代表らが、キムさんの発言を耳を傾けており、発言が終わった後、韓国の活動家たち全員が涙を流した」とハンギョレに伝えた。

 キムさんは国連人権理事会で、サムスン・LGなど大企業の「下請労災」被害を証言するため、市民団体の活動家らと共に先月5日夜、ジュネーブに到着した。8日から国連人権理事会傘下の「ビジネスと人権に関する作業部会」が作成している韓国訪問の報告書が上程され、議論される予定だったからだ。該当報告書にはメタノール失明事件をはじめ、サムスンの半導体工場とLCD工場の職業病や、現代自動車協力会社であるユソン企業の労組弾圧、現代重工業の下請業者の労災、加湿器殺菌剤死亡事件などの人権・労働権の侵害が言及されている。作業部会の報告書では、韓国政府と企業に「財閥など元請企業の人権保護責任を強化すべきだ」という内容の勧告も含まれている。

 キムさんの演説後、ビジネスと人権に関する作業部会のマイケル・アッド議長は「(昨年)韓国を訪問した際、政府やサムスンいずれも下請け体系の管理に断固たる処置を取ると約束した」とし、「その約束が守られるかを見守っていく。メタノール被害者問題が解決できる契機になることを願っている」と明らかにした。演説を終えた後、キムさんは「演説できるように手伝ってくれた皆様に感謝しており、この事件を多く知らせると共に、被害者たちに勇気を与えるきっかけになればと思っている」としたうえで、「世界的な場で国民が声を出しただけに、政府も(適切な処置を)してほしい」と話した。

パク・テウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:6/12(月) 15:06
ハンギョレ新聞