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社説[「加計」再調査]内閣府含め真相究明を

6/12(月) 7:45配信

沖縄タイムス

 松野博一文部科学相が一転して再調査に乗り出すことを表明した。政府の国家戦略特区を活用した学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、「総理の意向」などと記載された文書の調査についてである。

 文科省は当初、限られた幹部と共有ファイルを調査しただけで「存在を確認できなかった」と結論付けていた。なぜ方針転換したのだろうか。

 1月まで事務方トップを務めた前川喜平前事務次官が記者会見して「確実に存在していた」と証言。さらに、ここに来て文科省の複数の現職職員が「省内で共有していた」ことを次々明らかにしているからだ。

 再調査を拒否し続けた政府の姿勢が世論の強い反発を浴び、安倍晋三首相や菅義偉官房長官らが再調査に追い込まれたというのが実情である。

 安倍首相は「徹底的に調査するよう指示した」ことを明らかにした。松野氏も「国民の声に真(しん)摯(し)に向き合い、徹底調査をする」と話している。

 現職職員らが証言していることから文書はすぐに見つかるのは間違いない。問題はこれからである。前川氏が証言したように、国家戦略特区に加計学園の獣医学部新設が決定する過程で「行政の在り方がゆがめられた」ことはなかったのかということである。

 安倍首相が自ら「腹心の友」と呼ぶのが加計学園の理事長である。官僚の忖度(そんたく)はなかったのか、官邸側の意向がはたらかなかったのか、解明する必要がある。文書確認は真相究明の始まりと位置付けるべきだ。

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 再調査に向けた政府と文科省の姿勢は本物だろうか。その場しのぎの再調査表明ではないかとの疑念が拭えない。

 というのは、松野氏は調査期限や公表時期も示さず、第三者による調査も否定しているからだ。文科省の身内による再調査は、当初の調査のずさんさからみて、もはや信頼できない。

 安倍首相の指示にしてもこの間、「怪文書」扱いにし、再調査を拒否し続けたのは官邸ではなかったのか。安倍首相や菅官房長官が前川氏の証言に対しまともに答えず、人格攻撃に出たのは、問題の本質をそらす「印象操作」そのものだった。猛省すべきだ。

 特区を所管する山本幸三地方創生担当相は内閣府では再調査しない意向を早々と示している。納得がいかない。安倍首相はやましいことがないのであれば、内閣府にも徹底調査を命じるべきである。

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 前川氏は、文書にある「官邸の最高レベルが言っている」「総理の意向」などと発言したのは国家戦略特区を担当する内閣府審議官と名指ししている。首相補佐官から「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」との発言があったことも証言している。

 国会は終盤を迎えているが、うやむやにすることは許されない。前川氏は国会で証人喚問に応じることに前向きである。前川氏の証言や関連文書などに登場する内閣府や文科省などの幹部らがいる。今国会で証人喚問して真相を明らかにすべきだ。

最終更新:6/12(月) 7:45
沖縄タイムス