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新規顧客と既存顧客のどちらを優先すべきか? コアファンとの関係を大切にするピザハットのCRM戦略

6/13(火) 7:06配信

Web担当者Forum

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ピザの平均的な注文頻度は、年間2~3回ほどです。顧客数が減少傾向にあるなかで、新規顧客の獲得もそうですが、ファンとの継続した関係に注力しています。
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電話1つで自宅にピザが届く……日本で宅配ピザが流行してから30年あまり、今ではオンライン注文が当たり前になり、売り上げの5割を超えるケースも珍しくない。マーケティング施策も、オンラインクーポンやアプリなど、デジタルにシフトしつつある。

あなたは宅配ピザを1年に何回注文するだろうか。年10回を超える人はかなりのヘビーユーザーだ。一般的には年に数回、決して多いとはいえない機会のなかで、自社ブランドを選んでもらうにはどうしたらいいのだろうか。

今回は、積極的なデジタルマーケティングを展開している日本ピザハットのデジタルチームリーダーである渡辺圭祐氏に、マーケティング戦略をうかがった。


聞き手:深田 浩嗣 氏(株式会社Sprocket)

 

LTVを高めるためコアファンとの継続した関係に力を入れる

深田:ピザハットのWebサイト(ピザハットオンライン)は、注文というコンバージョンの要素がありますが、今回はユーザー育成のためのコミュニケーションなど、より長期的な視点でコンバージョン最適化についてお話を伺えればと思います。

渡辺氏(以下、敬称略):ピザの1人あたりの平均的な注文頻度は、年間2~3回ほどです。ピザを食べたくなったときにピザハットを選んでもらうため、どのようにお客様との関係を維持できるかを考えています。

2014年からメールを中心にCRMを行ってきましたが、2015年以降、より長くお付き合いしてもらうために、Webサイトでの施策にチャレンジしてきました。

深田:ここ1~2年の取り組みでわかってきたことはありますか。


渡辺:お客様の構成を見ると、注文頻度の高い方が2割、年に数回の方が8割となっていますが、売り上げの中心となっているのは頻繁に注文いただく2割の方たちです。

ピザの注文は季節変動の影響が大きいため、「前年の同時期と比較した注文数」「売上数値」を週単位で分析しています。結果、ここ2年ほどは慢性的に顧客数が減少する傾向にあります。

この課題に対し、「頻度高く注文する人を増やすのか」「頻度の高い人の注文を減らさないのか」と、戦略の優先度を考えなければなりませんでした。

深田:一度に全員とはいかないですからね。優先度付けは難しい問題だと思いますが、どういうプロセスで考えましたか。


渡辺:結果として、ファンとの関係性に注力することになりました。ファンの方がいなくなるほうがブランドダメージが大きいですし、売り上げにも影響します。

ピザハットは、デリバリーの配達地域が決まっている地域密着型商売です。ピザを注文するとき、地域の人にノーと言われることがないように、現在は施策の優先度として、「注文頻度の高いファンを減らさないこと」が高くなっています。

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戦略として、ファンを減らさないための施策に注力する。
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深田:ファンをなくしたくないという感情と、売り上げという数字の両方を踏まえての選択ですね。社内で施策の優先度を説明するとき、どのように伝えましたか。


渡辺:まず実際の数字を示しました。新規顧客を増やすのも魅力的ではありますが、新規顧客を獲得するにはコストがかかります。お客様がピザを購入するのは年に数回ですから、新規顧客1件の獲得コストは、リターン(平均注文単価)の3倍くらいが上限です。

一方、ファンの方は新規獲得コストをかけなくてもピザを買ってくれます。ファンがいなくなったら売り上げ減少することを合理的に訴えました。

また、売り上げだけでなく気持ちの部分も訴えています。会社として、お客様を第一に考えて満足いただくことを喜びとする文化があります。だからこそ、「ファンをなくすのはダメだ」という気持ちの部分の訴えも響きました。

 

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最終更新:6/13(火) 7:06
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