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日本代表、酷暑のイラク戦は“頭脳的な戦い方”がカギか?試合直前展望

6/13(火) 11:44配信

GOAL

2018年ロシア・ワールドカップ出場権獲得の行方を大きく左右する13日のイラク戦(テヘラン)がいよいよ目前に迫ってきた。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は5月28日の欧州組による合宿開始時から、2週間以上の時間を使って準備を進めてきたが、7日のシリア戦(東京)で香川真司(ドルトムント)が左肩脱臼。肝心の大一番を前にチーム離脱を余儀なくされた。この試合では山口蛍(C大阪)も右すねを打撲し、8~10日の3日間練習を欠席。11日からはランニングなどを再開したが、「治療はしましたが、準備ができているかはまた別の問題。トレーニングをしっかりやってるわけではないので、すぐにプレーできるかどうかはまだ分からない」と指揮官も前日会見で言葉を濁した。

すでに長谷部誠(フランクフルト)をケガで欠く日本にとって、中盤の人材難は顕著な問題だ。仮にシリア戦と同じ4-3-3を採用するとなれば、アンカーは山口の強行出場か、国際Aマッチ2戦目の井手口陽介(G大阪)のどちらかという選択になる。インサイドハーフはシリア戦後半に異彩を放った本田圭佑(ミラン)を右に配置し、左は今野泰幸(G大阪)が入ることになるだろうが、ハリルホジッチ監督は今野に関しても「まだ(状態が)どうだっていう感じ」と現在のパフォーマンスに満足していない。今野自身も「コンディションは周りの人が判断するから自分では分からない」と、自信なさげなコメントをしていて不安は拭えない。今回は今野を外して井手口を前に上げるサプライズ采配を見せる可能性もありそうだ。

一方で、本来の4-2-3-1に戻して、他のフレッシュなメンバーを抜擢する形も考えられる。実際、直近の非公開練習では井手口や遠藤航(浦和)が試された模様。トップ下も本田以外の選択肢が指揮官の中にはあるようで、誰が中盤でタクトを振るうかは1つの注目点になる。

また、こうしたメンバー構成にかかわらず、今回の日本に頭を使った賢い試合運びが求められる。

本田は「これだけ暑いと攻守において試合をコントロールしないといけない。相手にボールを持たれてる時も『持たせてる意識』が非常に重要かなと思います。監督は速攻みたいな形を作れと言うかもしれないけど、自爆しないように。自分らのペースで相手を走らせる戦い方が必要になってくる。それをするためにも経験が非常に重要」と話したが、それをチーム全体として共有することが、まずは大切だ。

ハリルホジッチ監督はもともと、奪ってから素早くタテに展開するスタイルを志向する指揮官。だが、気温35度超・湿度10%程度というテヘランの過酷な環境下では、自身の哲学を微妙に変化させる必要性があることを理解しているはず。ここまで本田とは目指すスタイルが微妙に食い違ってきたが、ここで両者が考えを一致させ、ピッチ上で体現できれば、日本としても大きな前進となる。メリハリのあるサッカーでエネルギーを温存しつつ、相手のペースダウンを待つなど、とにかく駆け引きで上回れるクレバーな日本代表をみせていく必要がある。

攻撃陣は大迫勇也(ケルン)、久保裕也(ヘント)、原口元気(ヘルタ)の3トップが基本線と見られるが、指揮官は異なる構成も温めている様子だ。ジョーカーと位置付けられていた乾貴士(エイバル)や浅野拓磨(シュツットガルト)の先発抜擢を含め、意外な起用も考えられる。

そんな中、左サイドは攻撃の軸になる可能性が高い。シリア戦の後半もそうであったが、左利きの本田がピッチ上にいることでサイドチェンジの数が増え、前への推進力をより前面に押し出せるようになるからだ。最終予選4試合連続得点という日本新記録を達成した原口、目下絶好調の乾らがフィニッシュに持ち込む回数も増えるだろう。

前日練習では久保が左に回る可能性も浮上した模様。その場合は新たなポジションで新境地を開拓しつつ、3月のUAE(アルアイン)・タイ(埼玉)2連戦に続くゴールを求められることになる。ハリルホジッチ監督と1対1で話をしたという久保は、相手背後への飛び出しをより強く要求されたというが、「それだけじゃダメなので、仕掛けるプレーも出していきたい」と新たなバリエーションの必要性を口にした。イラクの屈強なDF陣を相手にベルギーで磨いた打開力を発揮できれば、久保自身の引き出しも広がり、得点の確率も上がる可能性は十分にある。

大迫と絡みながら、生かし生かされる関係を築くことも肝要だ。最近の大迫はタメを作る仕事に忙殺され、フィニッシュまで行く回数が以前に比べて減っている。両サイドアタッカーや両インサイドハーフとうまく絡めなければ、彼がゴール前へ飛び出していく形は作れない。大迫が生きるかどうかも、久保の動きにかかってくると言えるわけだ。

一方の守備陣は、シリア戦のようなスキを見せたら瞬く間に失点を食らいかねない。イラクは180㎝以上の長身選手がチームの大半を占めており、リスタートのチャンスを与えたら昨年10月のホームゲームと同じ轍を踏む危険(セットプレーから失点)も大いにあるのだ。

最後尾に陣取る守護神・川島永嗣(メス)は「スキを見せないことが大切だし、ハッキリしたプレーをすることが大前提。相手のストロングポイントはカウンターやセットプレーの強さ。そこに対しては自分たちが集中力を高めていかなきゃいけない部分。この暑さの中で集中力が途切れることがあるから、気付いた人が声かけたりとか、状況に応じて対応することが大切」と強調していたが、まさにそれを実践することが重要だ。前からプレスをかける時はかける、後ろでブロックを作る時は作るといった意思統一と組織力を欠くことだけは許されない。

今回もシリア戦に続いて昌子源(鹿島)がセンターバックに入ると見られるが、「自分は前の試合よりすんなり入れるだろうなと思うし、シリア戦の経験は大きかった」と本人が前向きに語っている。日本からの移動途中には吉田麻也(サウサンプトン)とタブレットを見ながら約束事を確認するなど、お互いの感覚をすり合わせる努力も重ねている。やはり両センターバックが安定した守備を見せなければ、チーム全体の守りは締まらない。新たなコンビを機能させ、3月2連戦(UAE&タイ)以来の無失点試合を現実のものにしたいところだ。

取材・文=元川悦子

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最終更新:6/13(火) 11:47
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