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「本当に来たら素早く動けるか…」 ミサイル着弾想定、燕で新潟県内初の避難訓練

6/13(火) 7:55配信

産経新聞

 北朝鮮が弾道ミサイルの発射を続ける中、燕市の渡部地区で12日、ミサイルの着弾を想定した住民の避難訓練が県内で初めて実施された。住民ら85人も参加して内閣官房と消防庁、県、燕市が連携して取り組み、情報伝達や避難の手順を確認した。このほか全市町村でも訓練を行い、うち11市村では防災行政無線などで住民に伝達。県も国民保護計画に基づく対策本部の訓練に臨み、いざという場合に備えた。(松崎翼、太田泰、市川雄二)

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 ◆作業中断し防御姿勢

 大河津分水路をはさみ、田んぼが広がる燕市渡部地区での訓練は午前10時にスタート。同3分、防災行政無線から「ミサイルが発射されたもようです」と避難を呼び掛ける放送が流れてサイレンが鳴り響くと、農作業中だった住民らは身をかがめながら用水路の側溝や、かつて牛の給水用に使われた水おけなどコンクリート製の構造物の中に身を隠したり、自宅内で防御の姿勢を取ったりした。

 自宅内で訓練に参加したタクシー運転手の阿部和彦さん(50)は「爆風を想定して、部屋の中央にある机に潜り込んだ。近くの学校とも連携した訓練もあったらいい」と話した。また、農業の阿部松栄さん(79)は「農作業をやめて側溝に潜り込んだ。本当にミサイルが来たら素早く行動できるか分からないし、柏崎刈羽原発から30キロ圏内なので、原発を狙われたら恐ろしい」と不安を口にした。

 ◆「放送聞こえず」指摘も

 訓練後、地区の渡部公会堂で問題点などを話し合い、住民からは「自宅にある戸別受信機から放送が聞こえなかった」「避難を呼び掛けるアナウンスに緊張感がなかった」との指摘があった。内閣官房の伊藤敬内閣参事官は「皆さんの意見を踏まえて次の対策を検討したい」と応じた。同市の鈴木力市長は「『なるほど』と思うような場所に避難する方もいた。ここでの取り組みを市全域に伝えたい」と記者団に話した。

 同様の訓練は秋田、山口、山形などで既に実施されているが、原発が立地する都道府県では初めて。

 燕市と同じ午前10時台に11市村で行われた訓練では、県の推定で約44万人に情報が伝達された。妙高市の妙高高原地域で防災行政無線の戸別受信機が設定の不具合で作動せず、市全体の6分の1に当たる約1900世帯に影響が出た。上越市では「防災ラジオの音が鳴らない」といった問い合わせが約30件あった。新潟市は、約2万人が事前登録した防災メールを通じて避難を呼び掛けた。

 県庁では同日午後、危機対策課など関係部局の幹部ら約30人が集まり、対策本部の訓練を実施。訓練後、対策本部長の米山隆一知事は「県民の状況に関する情報収集を含め、態勢を考えねばならないと分かった」と述べ、対応力を高めるために今後、年に1回程度は担当部局でシミュレーションを行うとした。

最終更新:6/13(火) 7:55
産経新聞