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<福知山線脱線事故>JR西・歴代3社長の無罪確定へ

6/13(火) 13:28配信

毎日新聞

 ◇最高裁、検察官役の上告棄却

 2005年に兵庫県尼崎市で起きたJR福知山線脱線事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長の上告審で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は12日付で、検察官役の指定弁護士の上告を棄却する決定を出した。3人を無罪とした1、2審判決が確定する。事故を巡っては、神戸地検が同罪で起訴した山崎正夫元社長(74)の無罪が既に確定しており、事故を巡る刑事責任の追及は起訴された4人全員の無罪で終結する。

 無罪が確定する3人は、井手正敬元会長(82)▽南谷昌二郎元会長(75)▽垣内剛元社長(73)。神戸地検は3人を2度、容疑不十分で不起訴にしたが、検察審査会の議決を経て10年4月、指定弁護士が強制起訴した。

 指定弁護士は公判で、3人は事故現場のカーブで運転士のミスなどにより脱線事故が起きる可能性を予見できたのに、自動列車停止装置(ATS)を設置するよう担当役員に指示する注意義務を怠ったと指摘。「3人には高い注意義務があった」と主張した。

 これに対し神戸地裁は13年9月、「カーブが数多くある中、現場カーブで速度超過による脱線転覆事故が起きる危険性を予見できたとは認められない」として無罪とし、2審・大阪高裁も支持した。

 小法廷は裁判官4人全員の意見として、事故当時の法令はカーブへのATS設置を義務付けておらず、JR西でも設置の判断は鉄道本部長に委ねられていたと指摘。「社長が個別の危険性の情報に接する機会は乏しかった。ATS整備を指示すべき注意義務があったとは言えない」と結論付けた。また、小貫芳信裁判官は「数多くのカーブに同時にATSを整備するよう刑罰で強制することは、事故前の法令上、過大な義務を課すものであって相当ではない」とする補足意見を付けた。【伊藤直孝】

 ◇歴代3社長がコメント発表

 JR西日本の歴代3社長は13日、それぞれコメントを発表した。

 3人は「お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げ、ご遺族の皆様、おけがをされた方々とそのご家族の皆様に深くおわび申し上げます」と謝罪。その上で、「裁判において、さまざまな厳しいご意見をいただいたことにつきまして、重く受け止めております」(井手正敬元会長)▽「被害に遭われた方々のお気持ちを胸に刻み、この事故と向き合ってまいりたいと考えております」(南谷昌二郎元会長)▽「事故当時社長であった者として、これからもこの事故と向き合ってまいる所存です」(垣内剛元社長)--とした。【望月靖祥】

 ◇ことば【JR福知山線脱線事故】

 2005年4月25日午前9時18分ごろ、兵庫県尼崎市で制限速度(時速70キロ)を大幅に超える約115キロで急カーブに進入した快速電車が脱線し転覆。乗客106人と運転士1人が死亡、乗客493人が負傷した。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(当時)は07年、運転士のブレーキのかけ遅れと速度超過が直接の事故原因と結論付けた。

最終更新:6/13(火) 20:34
毎日新聞