ここから本文です

【外信コラム】中露国境付近を取材、「黒密漁」にドッキリしたが…

6/13(火) 16:00配信

産経新聞

 べつに、国境が好きなわけではない。泣く子も黙る中国人民解放軍兵士に誰何されるのはまっぴらだ。でも、中朝国境、中国カザフスタン国境に続き、たまたま中露国境付近を取材することになってしまった。

 黒竜江省密山市近郊に広がる興凱湖。南北100キロに東西60キロ、琵琶湖が6つも入る大きさだ。国境線は湖上を走る。

 湖畔で車を降りて、はるか先のロシア側をながめた。写真をパチリ。あっ、浜辺に軍の施設がひっそり建っている。

 「まずいな」。胸の奥底で危険信号が点滅を始めた。

 そっと、車に乗り込もうとしたそのときだ。浜辺の漁船が目に入った。船体に漢字3文字が記されている。ギョッとした。

 「黒密漁」

 黒社会(犯罪組織)の密漁船か! 堂々と軍のすぐ近くに係留するとは! いや、軍が摘発した船かもしれない-。恐る恐る近づいて、写真を撮った。

 帰路、車窓から湿地帯が見渡せた。ツルが戯れている。ふっと、笑いが込み上げてきた。

 考えてみれば、黒密漁とは「黒竜江省・密山市・漁船」のことではないか。

 南方の北朝鮮領内から日本海へミサイルが発射されたのは、その頃である。水田では親子が田植えをしている。静かな夕暮れ時だった。(藤本欣也)

最終更新:6/13(火) 16:00
産経新聞