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「1億円以上が水の泡になった」 外国人留学生、入管の「壁」揺れる沖縄

6/13(火) 11:05配信

西日本新聞

 客引きも、引かれる客も外国人。昨年度、訪日外国人観光客(インバウンド)が200万人を突破した沖縄ではありふれた光景だ。

 ネパール人のサントスさん(26)=仮名=も那覇市の国際通りに立ち、量販店の呼び込み役として働いている。服には「ENGLISH OK」のバッジ。留学生として日本語学校で学んだが、仕事で重視されるのは英会話の能力だ。

 母国は英語教育に熱心で若い世代ともなれば日常会話に困らない。「日本で観光の仕事がしたい」。政府は東京五輪の2020年にインバウンド4千万人の目標を掲げる。外国人が外国人をおもてなし-。そんな近未来を予感させる沖縄が今年3月、「3割ショック」に揺れた。

 「1億円以上が水の泡になった」。県南部の日本語学校の理事長は嘆く。4月の入学予定者217人のうち、在留資格認定証明書が交付されたのは4割に満たない78人のみ。その分の学費や寮費が入らなくなる。

 県内全13校の平均も36・8%にとどまる。昨年度は55・7%。全国的には8~9割の地域も珍しくない。「なぜ沖縄だけ…」。審査した入国管理局那覇支局は「通常通り」と言うだけで詳しい理由は明かさない。

 那覇市から車で40分の北谷町。観光協会の渡真利(とまり)聡会長(57)もショックを受けた。町ではインバウンドの恩恵でホテルの建設ラッシュが続き、2、3年後には3倍近い2千室に増える計画だ。課題は従業員の確保で、留学生に期待が集まる。「町に日本語学校が欲しいなあという話もしていただけに、このままでは商機を逃してしまう」

 「留学あっせん 書類偽造」「『稼げる』日本行き誘う 教育マフィア」…。

 沖縄の新聞2紙も昨年末から、一部で過熱する留学ビジネスの実態を報じてきた。海外の仲介業者が出稼ぎ目的の留学生を募り、日本側へ受け渡す。失踪や不法在留も後を絶たない。

 「新聞が書いたから審査を厳しくしたのでは」。そんなうわさもささやかれるが、戸惑ってばかりもいられない。4月から、渡真利さんたち観光業と日本語学校の関係者が初めて顔をそろえ、那覇市で対策会議を開いている。その中で、奨学金を出して留学生を迎えようという提案があった。

 似たような学費貸付制度は、福岡県中小企業経営者協会連合会が導入した。4月にベトナム人1人、秋にはさらに6人を来日させる計画だ。ただ、企業側が出資すれば職業選択の自由を奪うと見なされ、違法にならないか。入管に相談しても「“きれいな実績”を重ねてほしい」とかわされ、手探り状態が続いている。

 結局、那覇での対策会議でも結論は出なかった。1億円の穴埋めに悩む理事長は「基準が分からないと対応のしようがない」と不満を漏らす。「移民」を認めない国の姿勢に現場が振り回される。

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最終更新:6/13(火) 11:05
西日本新聞

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