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世界最強の製造業、GEトップ退任にみる日米企業の違い

6/13(火) 10:54配信

ニュースイッチ

株価に見えにくい価値、社内カルチャーの変革導く

 米ゼネラル・エレクトリック( GE)のジェフリー・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO、61)が退任することになった。イメルト氏は2001年にCEOに就任、16年間にわたってGEのトップを務め、金融サービスから撤退し、製造業に再び軸足を移すなどの変化を導いた。また2011年に提唱した「インダストリアル・インターネット」はあらゆるモノがネットにつながる「IoT」に置き換わり世界の製造業モデルを変革させた。

 一方で、直近でGEの株価は1年半ぶり安値まで下落。これを受け、アクティビスト(物言う投資家)などが圧力を強めていた。イメルト氏にとって、株価は常に課題だった。ウェルチ氏が20年間で株価を30倍にしたのに対し、イメルト時代のGEの株価は就任前の水準をなかなか上回らなかった。

 後任にはヘルスケア部門責任者のジョン・フラナリー氏(55)が指名された。8月1日付でCEOに就任し、来年1月から会長も兼任する。同社では2011年から後任人事の計画を練ってきたという。 フラナリー氏は1987年にGEに入社、2014年からヘルスケア部門を率いている。

 不祥事が起こってもトカゲのしっぽ切りをする日本企業もある中、このタイミングでの退任発表は改めて日米の企業統治(コーポレートガバナンス)の違いを浮き彫りにさせた。

 イメルト氏は株価にはなかなか見えにくい企業価値を生んだ。それは社内カルチャーの変革だ。「GE ValueからGE Beliefs」へ。具体的には(1)お客様に選ばれる存在であり続ける(2)より速く、だからシンプルに(3)試すことで学び、勝利につなげる(4)信頼して任せ、互いに高め合う(5)どんな環境でも、勝ちにこだわるー。

 特にデジタル革命においては強いリーダーシップによって投資を進めてきた。毎年の「アニュアルレポート」でイメルト氏が記している「株主の皆様への手紙」。今年の一文を紹介する。

 「GEは、産業界のデジタル化への投資が生産性という課題を解決する手段になると考えています。生産性向上に寄与すると見込む2つの新しい技術が、インダストリアル・インターネットと積層造形(3Dプリンティング)です。
 GEはこの両分野における主導をとります。なぜでしょうか?それは、身を引いて他企業に市場創出を委ね、リーダーの立場を降りてGEの果たす役割を消費者へと移すことは、いつでもできるからです。

 GEはこの革新的な両分野での最高の知的財産と最良の能力を保有しています。GEは巨大な実践者であり、私たちの顧客企業は生産性を渇望しています。

 インダストリアル・インターネットと積層造形(3Dプリンティング)を勝ち取ることによってGEは最上のものを得ますが、それらを他社に渡してしまえば最大のものを失うことになります。いまGEは、自社や顧客企業、ひいては世界の生産性を生み出すような、新しい事業を作り上げているのです」

 日本の経営者からみればまだまだ若く経験も豊富。社外取締役などで招聘する日本企業は出てくるだろうか。

最終更新:6/13(火) 10:54
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