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《ブラジル》特別寄稿=テメルの進退決める裁判劇=ピアーダのような裁判の構図=乗り切ったが次の嵐がそこに

6/13(火) 7:08配信

ニッケイ新聞

 空は晴れたが寒くなりましたね。この気候につられるのか、ブラジル政界も中々厳しい日々が続いております。先週6日から9日まで、ブラジリアの選挙高等裁判所(TSE)で現テメル大統領がその職を失うか否かの審理、判決がなされました。

 それは2014年末に行われた大統領選挙で選ばれたジウマ大統領/テメル副大統領シャッパ(立候補チーム)の当選が、有効か無効かを判定する裁判だったのです。この選挙が無効だと裁定されれば、既に罷免されているジウマさんは良しとして、その後を引き継いだ現テメル大統領もその職を失うことになるところでした。
 大統領が居なくなれば、また選挙などでゴタゴタするし、何よりも今から好転する兆しが見えて来た『景気の回復』が施策不十分で頓挫してしまう恐れがあります。
 「こんな汚職政権、潰してしまえ」の当選無効派と、「今は政権争いで時間を潰している時期ではない。来年10月には大統領選挙があるのだから、それまで今のテメルにやらして景気回復を図るべきだ」の当選有効派。両派の国民の関心と注目を受けてこの審議、裁決が行われました。
 結果は「有効支持4」対「無効主張3」で有効多数、テメル大統領の現職続行ということになりました。で、この辺の経過、更にこの後のブラジル政界はどのように動いていくのか? 皆さんと一緒に点検してみたいと思います。

▼判決までに2年半

 当時政権党だったジウマPT(労働者党)と、これと連携するPMDB(民主運動党)のテメルは2014年、正/副大統領候補のシャッパを組んで見事当選しました。
 このとき次点で落選したアエシオのPSDB(社会民主党)は「この選挙には不正があったから、このシャッパの当選は無効だ(だからアエシオが繰り上げ当選だ)」と裁判所(TSE)に告訴しました。この裁判が遅れに遅れて、ようやく今回、2017年6月に判決が出るところまで漕ぎつけたのです。
 しかも裁判の構図が、まるでピアーダのようになっています。
 テメルも訴えていたはずのアエシオ本人が、ついこの間までテメルを支える与党の党首。さらにアエシオは5月にJBS疑惑の渦中に巻き込まれ、右腕のような存在だった姉を逮捕され、本人も疑惑まみれとなり、上院議員を停職されせられ、あわや逮捕か―という瀬戸際にいます。
 「ジウマ/テメルに不正がある」と訴えた本人の方が、先に汚職疑惑で処罰されているのですからまるでピアーダか、ブラックジョークのようですね(失礼)。
 連邦選挙裁判所の長官は、最高裁判所判事も兼ねているG・メンデスです。また、告訴状の内容を吟味して他の判事に自分の審議内容、証拠などを提供する主務報告判事にはH・ベンジャミン判事が選任されています。黒い法衣を身に纏う総勢7人の判事は、毛が薄くなって光り輝く頭の人、髪の毛が真っ白の人、識見と威厳を備えて立派に見えます。裁判劇の立て役者たちです。
 この判事たちが4日間に亘り、当選有効/無効と手を振り、時には大声を出して熱弁を振るうのですから、これは見ごたえがあります。どこかの劇場で見た裁判シーンより余程の迫力のリアリテーショーが繰り広げられました。

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最終更新:6/13(火) 7:08
ニッケイ新聞