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新日鉄住金、原料炭価格もスポット連動。四半期価格、交渉行わず

6/13(火) 6:03配信

鉄鋼新聞

 新日鉄住金は、原料炭の価格決定に当たり、スポット価格(インデックス)を基準に四半期価格を決める方式を採用する。現在は複数の有力石炭サプライヤーとの交渉で四半期価格を決めているが、今後は原則、交渉を行わない。4~6月積みにさかのぼって適用する。スポット連動方式は鉄鉱石で採用済み。原料炭も同様の方式へ移行することで、高炉メーカーの鉄鋼原料購入価格は、スポット価格の影響を一段と受けることになる。

 すでに複数の原料炭サプライヤーと合意した。主要なサプライヤーと結んでいる年間数量契約(数量契約)は維持する。対象とするのはコークス主原料の強粘結炭で、高炉吹き込み用炭(PCI炭)、コークス配合用の非微粘結炭は従来通り、交渉で価格を決める。JFEスチールなど他の高炉メーカーも追随する見通しだ。
 新方式はスポット指標に連動して自動的に四半期価格が決まる仕組み。ただ、四半期価格を算定する際、どの期間のスポット価格を基準とするかは、サプライヤーごとに決める。4~6月積みの場合、3~5月平均、4~6月平均など複数のパターンを採用する見通しで、サプライヤーによって四半期の基準価格が異なるケースも出てきそうだ。
 スポット価格の採用期間によっては、当該四半期が終わるまで基準価格が決まらないケースも出てくる。この場合、仮価格として前の四半期価格を継続。基準価格が決まった段階で差額を精算する。
 基準価格の対象はいわゆる「一級強粘結炭」だが、原料炭銘柄の評価(粘結性など)に応じて、基準価格に対する割増額(プレミアム)や割引額(ディスカウント)を設定する。このため強粘結炭とはいっても単純な「一物一価」とはならない格好だ。
 原料炭の価格をめぐっては昨年夏以降、中国の石炭産業政策や豪州でのサイクロン被害などを材料に、スポット価格が乱高下する場面が目立つ。4~6月積みの価格交渉では、こうした短期的な変動を四半期価格に反映するようサプライヤー側が要請。価格変動をより抑えたい高炉メーカーとの交渉は難航していた。新日鉄住金は、スポット取引が拡大傾向にあることも踏まえ、スポット連動型を提案した。
 鉄鉱石は従来の年間固定価格制から四半期価格制に移行した2010年4月からスポット連動方式を採用。基準となる中国向けスポット価格の変動に応じて四半期価格が決まる。原料炭は基準価格の算定期間が異なるものの、仕組みは鉄鉱石と同じ。いずれもスポット価格の変動が最終的に四半期価格に反映する形となる。
 スポット価格は短期需給や鋼材の国際価格の変動に影響されやすく、短期間で乱高下することも多い。四半期価格制は維持されるものの、今後は鉄鉱石、原料炭ともに価格の振れ幅が大きくなる可能性もある。
解説/スポット取引拡大に対応/短期価格変動を迅速に反映
 原料炭の価格決定方式がスポット価格(インデックス)連動型に移行する背景には、スポット取引の拡大傾向がある。2015年ごろまでは、原料炭のスポット取引の割合は海上貿易量のせいぜい2割程度にとどまっていたが、現在は5割近くがスポット取引になったとの指摘もある。その割合は今後、さらに上昇する公算が大きく、従来の交渉方式ではスポット価格の変動をタイムリーに反映させるのが難しくなっていた面もある。
 スポット取引拡大のきっかけとなったのは、原料炭の輸出では世界最大のBMA(豪州、BHPビリトン・ミツビシ・アライアンス)が15年からすべての輸出を対象にスポット取引に移行したことだ。すでに中国の高炉メーカーやトレーダーの多くはスポット取引を採用していたが、BMAの変更に伴いスポット価格への注目がより集まるようになった。
 スポット取引拡大の決定打となったのは、アングロ・アメリカンなどBMA以外の有力サプライヤーが四半期価格交渉のプライスセッター(価格決定者)を避けるようになったことだ。インドの高炉メーカーが粗鋼生産量の拡大に合わせ、原料炭のスポット輸入を増やしていることも重なった。
 このころから四半期価格の交渉が難航するケースも目立ち始めた。交渉方式ではスポット価格の変動をタイムリーに反映させることが難しい上、場合によって短期的な変動は四半期価格に反映されないケースもあった。特に価格急騰時は四半期交渉の結果に対し、サプライヤー側に不満が残るケースが目立った。
 原料価格の変動は鋼材価格に大きな影響を与える。高炉メーカーは、鋼材価格の安定のためにも原料価格の急激な変動は避けたいが、その結果として交渉が長引くことは本意ではない。これまではスポット取引のボリュームの少なさから、スポット価格連動型を許容してこなかったが、新日鉄住金はインドなどの台頭を踏まえ、実質、自動的に価格が決まるインデックス方式の採用に踏み切った。
 一方、新方式では民間の調査機関などが公表しているインデックスを採用することになる。インデックスをめぐっては、公表価格の信ぴょう性の低さを指摘する声も根強い。新日鉄住金は当面、複数のインデックスを採用する方針だが、当面は、インデックスが実際の市場価格を的確に反映しているかどうかの検証も必要となりそうだ。(高田 潤)

最終更新:6/13(火) 6:03
鉄鋼新聞