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【MotoGPコラム】追い上げて4位フィニッシュ。ホルヘ・ロレンソが、レース終盤に”復活”できたワケ

6/13(火) 18:45配信

motorsport.com 日本版

 第7戦カタルニアGPで、ホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)が4位でチェッカーフラッグを受けた。2008年から9年間を過ごして3度の年間総合優勝(2010、2012、2015)を達成したヤマハファクトリーチームを離れ、今年はドゥカティ移籍最初のシーズンだが、着実に新しい環境に適応しているようだ。

【写真】ロレンソのバイク、左ハンドル下についている、指で操作するリヤブレーキレバー

 ドゥカティは、乗る者を選ぶバイク、という印象が強いメーカーだった。2007年にケーシー・ストーナーがチャンピオンを獲得して以降、多くのライダーたちがこのファクトリーチームに惹かれて挑戦を開始したものの、そのほとんどが成功を収めることなく去って行った。だが、今季がドゥカティ5年目のシーズンなるアンドレア・ドヴィツィオーゾは、昨年第17戦のマレーシアGPで同チーム移籍後初の優勝を挙げ、今年は第6戦イタリアGPと第7戦カタルーニャGPで連勝。開幕以来、安定して高い成績を残し、開発の着実な前進と2017年仕様デスモセディチGPの素性の良さを印象づけている。

 一方、今年からドゥカティに合流したロレンソは、序盤数戦は予選で低位に沈み、レースでも二桁順位でのゴールや転倒など、芳しくない結果が続いた。だが、第4戦スペインGPでは移籍後初の3位表彰台を獲得した。

 ロレンソは長年ヤマハのマシンに乗り慣れてきただけに、高いコーナリングスピードを活かすライディングスタイルが持ち味の選手だった。一方、ドゥカティのマシンは強力な動力性能に比して旋回性に課題を抱えている。その特性に、ロレンソは時間をかけて少しずつ順応してきた。今まで使用しなかったリヤブレーキを積極的に使うようになり、セットアップ面でも車高を上げるなど、ライダーとバイクの双方が歩み寄りながら少しずつ落としどころを探っていることは、彼の日々のコメント等からも充分に窺うことができる。それらのアプローチが、今回のカタルニアGPではさらに一歩、前進を見せたようだ。

 予選では、ドゥカティ移籍後初のフロントロウとなる2番グリッドを獲得。決勝でのパフォーマンスに注目が集まった。全25周で争われた日曜のレースは、オープニングラップでトップに立つと、しばらくは先頭グループを牽引した。しかし、その後はペースを落として一気に8番手まで順位を下げた。いつものような展開になるかとも見えたが、終盤になって一気に順位を回復。前の選手たちをどんどんオーバーテイクし、最後は4位でゴールしている。

 レースリザルトの数字だけを見れば、第4戦スペインGPの3位よりもひとつ下ではあるものの、ロレンソ本人の手応えは今シーズン最高といっても差し支えない話しぶりだった。

「とても満足している。昨日の予選ではフロントロウを獲得したし、決勝ではリヤタイヤの性能を維持して4位で終えることができた」

 一度は集団後方に飲み込まれたところからレース終盤に盛り返すことのできた理由は、マシンの扱いが穏やかだったからだ、と説明した。

「スロットルを終始丁寧に操作し、セカンドグループで一番トラクションがよかったので、そこから抜け出すことができた。もちろん勝ちたかったけれども、トップから9秒差で、はじめて優勝者から10秒以内でチェッカーを受けることができた」

 彼自身がそう話すとおり、3位で終えたスペインGP(14.767秒差)よりも今回のほうがレースタイムでは優勝者に近いところで終えている(9.608秒差)。その点では、内容で上回っているといってもいいだろう。

「もちろん勝ちたかったし、自分たちが狙っているのは4位のような場所じゃない。でも、毎戦着実に上位に近づいている。昨年のヘレスやモンメロ(カタルニア)と比べても、ドゥカティは確実に進歩している」

 昨年のカタルーニャGPで優勝者から41秒差でゴールしたドヴィツィオーゾが、今年のレースでは優勝し、ランキングでも2位に浮上した。ロレンソは、自分自身が今シーズンのチャンピオンを争うことは難しいだろう、と開幕前から公言していたが、今回のチームメイトの結果を前に、彼のチャンピオン争いの可能性についてはこんな見解も述べた。

「今年のMotoGPは、ミスが多発してクラッシュも多いけれども、ドビはクレバーでほとんど転倒しない。経験をすごく活かして、勝っている。だから、チャンピオン争いはできると思うよ」

西村章