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ダイナミックマップ基盤が事業会社に…オールジャパンで高精度3Dマップのデファクトを目指す

6/14(水) 8:30配信

レスポンス

自動運転向け高精度3D地図の製作を手掛けるダイナミックマップ基盤企画株式会社(略称:DMP)は、6月13日、都内において発表会を開催した。これまでの企画会社としての立場を変更し、事業会社として再スタートを切ることになる。

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また同時に、第三者割当増資と社名の変更が発表された。新たに産業革新機構およびダイハツ工業から出資を受けることになる。社名変更については、”企画”の部分がなくなり、「ダイナミックマップ基盤株式会社」となる。筆頭株主は産業革新機構となり、33.5%を保有する。続いて地図データを制作する当事者である三菱電機、ゼンリン、パスコ、アイサンテクノロジー、インクリメント・ピー、トヨタマップマスターの各社、さらには日本の自動車メーカーも全社、株主として名を連ねる。

ジャーマンスリーが買収したHEREは、中国テンセントとナビインフォ、米インテルも出資に参加し、グローバルな体制に移行しつつあるが、いっぽうでDMPは、今回の発表により、官民ファンドが筆頭株主となり、国内自動車メーカーも参加して「オールジャパン」体制でスタートすることになった。

◆中島社長「オールジャパンの知見を集約」

発表会ではまず、ダイナミックマップ基盤企画株式会社代表取締役社長の中島務氏が登壇し、あいさつした。

「株主でもある自動車メーカー各社の協力のもと、高精度3次元地図データの仕様の作成や事業化の検討など、20名ほどでこれまで必死にやってきました。本日、事業化の検討結果を踏まえ、こうして発表できることをとてもうれしく思います。電機・地図・測量会社と、株主である自動車メーカーで、オールジャパンの知見を集約していることががDMPの強みです。」



「そして今後、高精度3次元地図データの構築・運用をしていくために増資を受け入れ、資本総額を40億円に増資することになりました。事業化判断については、当初2年間としていましたが、それを前倒しし、本日発表することができました。まず、2018年度中に国内すべての高速道路および自動車専用道路の上下線約3万キロのデータを整備します。」

今後については、「継続的な地図のメンテナンスをどう効率化するかカギです。現在は首都高速道路株式会社・ヤマト運輸株式会社が保有する点群データ(高精度3次元地図のもととなる地形スキャニングデータ)を活用していますが、今後はIoTプラットフォームを利用して、様々なサービス事業者との連携を強化していきます。それから一般道についても検討中です。幅員5.5m以下の道路延長は約35万キロであり、高速道路の10倍以上です。どのように整備し、早期提供を実現するか、検討していきます。」

海外展開についても言及があった。「ベースとなる高精度3次元地図において、海外地図サービス会社との仕様面含めた連携が不可欠です。これをふまえ、HEREとの間で連携に合意しました。」

最後に中島社長は「企業スローガン”Remodeling of the erath”のものと、高精度3次元地図データを自動運転以外の用途にも利活用することを目指し、政府が提唱する「ソサエティー5.0」にも貢献し、安全安心な社会の実現に向けて活動していきます。」と締めくくった。

◆官民ファンドも強力な支援を約束

続いて、株式33.5%を保有する筆頭株主となる株式会社産業革新機構(筆者註:産業再生法に基づく官民出資の投資ファンド)の専務取締役である土田誠之(つちだしげゆき)氏が、株主を代表して登壇した。

「産業革新機構のなかでも、私が所管している戦略投資グループは、成長分野への投資をしております。これは、ゲーム・アプリ・フィンテックなど民間だけでも十分な資金が回る分野以外をターゲットとしており、過去4年間で70社、1800億円の投資を実施してきました。重点領域は、AI・IoT・ビッグデータです。併せて、今年度より宇宙産業という領域も加えました。」

「今回のDMPへの投資は、グロース投資のなかでもプラットフォーム型投資と言えます。MMS(筆者註:三菱電機が提供する地形スキャニングシステム「Mobile Mapping System」)や、地図会社、測量会社による地図製作能力によって、世界に先駆けて自動運転用の地図を作成することができると確信しています。株主である自動車メーカー含め、オールジャパンの体制ができたことも、投資を決めた理由の一つです。」

「DMPの事業継続については、産業革新機構が全力で支援していきます。まず、高速道路の高精度3次元地図データを整備するための十分な資金を提供します。そして、我々が官民ファンドであることを活かし、中立的な当事者の利害調整をしていきます。さらには、従来の日本企業文化と決別し、海外の企業、研究機関の連携を強力にサポートしていきます。自動運転用の地図データは、競争が激しい分野ではありますが、DMPがデファクトを取れるよう強力に支援してまいります。」と力強く語った。

◆質疑応答

発表会の最後に質疑応答が行われた。以下、一問一答。

Q:HEREとの関係について。連携について合意したとのことだが、協調する部分もあれば競争もあるのでは。どう線引きしているのか。
中島社長:HEREとの対話はまだこれから。地図をどう作るかという仕様面についてはHEREと協議していきたい。自動車メーカーに対するセールスという面では競合関係になる。

Q:海外展開の話があったが、特に中国について聞きたい。中国は現地企業でないと地図データを製作できないが、例えばHEREは現地企業との連携を進めるなど活動している。御社の場合はどのように考えているか。
中島社長:おっしゃる通り、中国はDMP自身が地図を作ることはできないので、現地企業との連携をするとしたら、例えば測り方、作り方などのノウハウとパッケージを提供するという可能性はあると考えている。

Q:高速道路の高精度3次元地図データ整備に必要な資金は。
中島社長:30億程度だと考える。

Q:黒字化はいつ頃になるのか。
中島社長:オリンピック以降の見通しだ。2020年代前半には黒字転換できるのではないか。

Q:(産業革新機構の土田氏に向けて)イグジット(筆者註:投資した資金をキャピタルゲインとともに回収すること)についてはどう考えるか。
産業革新機構 土田専務:当社は時限立法のため2025年3月には解散予定だが、現在のパートナー企業と相談しながら進めることになる。例えば、出版デジタル機構という案件があったが、既存株主と相談しながら売却をしており、今回も基本的には同じスタイルだ。

《レスポンス 佐藤耕一》

最終更新:6/14(水) 8:30
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