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若者の定住促進に力 古河市

6/14(水) 7:00配信

茨城新聞クロスアイ

古河市が首都圏からの若者や子育て世代の移住・定住促進に力を入れている。2015年度から実施してきた、住宅取得に対する最大150万円の奨励金交付事業の3年間延長を発表。首都圏へのアクセスといった地理的条件の良さに加え、子育てや教育、公共交通などの施策を合わせて市の魅力をアピールする方針だ。日野自動車古河工場の稼働に伴って従業員の転入が見込めることもあり、同市の隣接自治体もさまざまな定住促進策を展開。将来の人口減少が見込まれる同市も「この1、2年が勝負」と言葉に力が入る。


「奨励金制度を知らなかったので、もらえてうれしい」。製造会社に勤務する男性(30)は、素直に喜びを語った。

16年3月、市内に一戸建てを新築した。近隣自治体にも同様の制度がある中で「病院やスーパーが近く、子どもが遊べる公園もある。交通の便も良い」と、同市を選んだ理由を説明。「これから住もうと考える人にとって、奨励金は一つのポイントになるのでは」と話した。

市の奨励金事業は、世帯主または配偶者が39歳以下か15歳以下の子がいる世帯が対象。12年以降に転入し、20年までに新築や中古住宅、マンションを購入して申請すれば40万円が交付される。

市内業者が施工すれば10万円が増額。古河三中学校や古河赤十字病院周辺の「古河駅東部地区」の保留地を取得すれば、さらに100万円が交付される。申請数に上限がないことも特徴だ。

過去2年間の実績は、15年度が6770万円で149世帯446人、16年度が8750万円で197世帯599人。順調に利用が伸びている。ただ、日野自動車関連の従業員からの申請は15、16年度でそれぞれ2、28世帯にとどまった。

▼40年に人口11万人

市の人口は4月1日現在で約14万4千人。5年前の13年4月と比べ約2500人減だが、転入出は昨年度から255人の増加に転じた。

市の人口ビジョンによると、2040年の総人口予測は約3万人減の約11万人。1月に全面稼働した日野自動車古河工場には今年中に2千人規模の従業員が勤務する予定で、今後も古河市を中心に独身や子育て世帯の従業員が移住すると見込まれている。

一方、同市に隣接する県内外の自治体も好機とみて、それぞれ特色ある定住促進化の施策をアピールしている。住宅団地の造成が進む栃木県小山市は、転入者に対する最大110万円の補助金を支給するなどしており、同県野木町も50歳以下までを対象とした奨励金などを実施している。

境町は町民税の軽減による奨励金などのほか、1歳未満の紙おむつ用品助成や英語教育の推進といった子育てや教育、福祉施策の充実化を図っており、移住希望者へのアプローチを積極的に推進。

結城市は、すでに同市内の単身寮に住む日野自動車の従業員を対象としたイベントを展開する予定で、市の魅力や住みやすさを体感してもらうことで、結婚や一戸建てを検討する時期がきても引き続き住んでもらう“作戦”だ。

▼公共交通網を強化

古河市も昨年12月から、循環バス4路線に「通勤通学コース」「市役所本庁・病院コース」を追加して公共交通網を強化。このほか駅前での幼児の一時預かりサービスや英語特区による小学1年生からの英語教育など、多様な施策を打ち出しながら、住環境の良さと合わせてアピールする。

針谷力市長は「都心に1時間で通えて地価が安い『都会に一番近い田舎』。暮らしやすさをもっと訴えたい」と強調。「古河はもともと潜在能力の高いまち。日野自動車の進出で注目されているのを機に、従来からある自然、歴史、文化の総合的な魅力を広めて定住化につなげたい」と述べた。 (溝口正則)

茨城新聞社