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過敏性腸症候群との誤診多し 子供の「クローン病」って?

6/14(水) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 腹痛や下痢を子供が頻繁に訴えるようなら、それらが代表的な症状である炎症性腸疾患の一種「クローン病」の可能性がある。

 クローン病患者の名良之繭子さん(38歳)は、高校時代から腹痛や下痢に襲われるようになった。19歳の時は腹痛を我慢し過ぎて倒れ、病院で「胃潰瘍と十二指腸潰瘍」と診断された。しかし、入院して治療を受けてもよくならない。

 その後、何軒もの病院で胃の内視鏡検査やピロリ菌検査を受けたが、クローン病は一度も疑われず、多くは過敏性腸症候群との診断だった。結局、クローン病の診断がついたのは14年後、33歳の時。食事を口に入れるだけで腹痛を起こすほどだったが、適切な治療を受けて今は症状が安定している。

 クローン病は、日本で急増している難病だ。口から肛門まで続く腸管の一部あるいは複数部に慢性の炎症を起こす。10~20代で発症する人が特に多く、主な症状は腹痛、下痢、血便だ。

 原因は分からず、良くなったり悪くなったりしながら炎症は持続する。罹病期間が長くなると、小腸と大腸に縦に走る縦走潰瘍、腸管の狭窄、腸と皮膚あるいは腸管同士の間に通り道ができる瘻孔、腸管の癒着が起こる。痔瘻や肛門周辺の潰瘍を合併することもある。最近、クローン病の新薬(生物学的製剤)が登場した。「これで寛解(炎症が落ち着き症状が出ない状態)を維持できる人が増える」と言うのは、東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科・鈴木康夫教授だ。

 最初の生物学的製剤の発売は2002年で、これによって治療は大きく前進した。年1回は入院が必要なほどの腹痛に襲われるのが“普通”だったのが、症状を抑えられるようになったのだ。

「今回の新薬は、クローン病における3つ目の生物学的製剤です。従来の2つの生物学的製剤は有効性が高いですが、症状を十分に抑えられない患者が2割弱。よく効いても2~3年で効果が減少する人が4割。副作用もあります。新薬は従来薬とメカニズムが違うため、従来薬が合わなかった患者、効き目が落ちた患者にも、効果が期待できそうです」

■血液検査と肛門の病変チェックを

 クローン病は完治しないが、寛解・維持は可能――。しかし、別の問題点がある。クローン病の認知度の低さだ。

 腹痛、下痢、血便がしょっちゅう見られても、患者はもちろん、医師もクローン病を疑わない。病名すら頭に浮かばない。冒頭の名良之さんのように、過敏性腸症候群やストレスだと誤診されているケースは珍しくない。

「クローン病の知識があれば診断は難しくない。しかし、クローン病患者が多い米国でさえも、診断まで5年前後かかるという報告があります」

 発症のピークは10~20代なので、「ウチの子供はストレスですぐにお腹を壊す」と思っていたらクローン病だった……というケースもある。鈴木教授は、若年で腹痛、下痢、血便が続く場合、適切な診断に結びつくポイントとして「血液検査」と「肛門の病変」を挙げる。血液検査で炎症反応が出たり、肛門が切れて膿が出ていれば、クローン病の疑いが濃厚。専門医を受診した方がいい。

 一つ注意すべきは、子供がありのままに症状を話していないケースだ。「心配させたくない」「恥ずかしい」「ストレスだと言われる」など理由はさまざま。名良之さんも、腹痛がかなりひどいこと、血便があることは親には言えなかったという。子供の“異変”に対し、親が気を配るしかない。