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川崎踏切事故あす2カ月 非常ボタンためらわず押して

6/14(水) 7:55配信

産経新聞

 悲惨な踏切事故を無くそうと京急電鉄、川崎市、川崎署は、京急川崎駅前の歩行者通路に非常ボタンの体験コーナーを設け、通行人らに押し方や使用シーンを知ってもらう活動を実施した。4月に川崎区の京急電鉄八丁畷(なわて)駅前の踏切で男性2人が犠牲になった事故を受けての取り組み。事故から15日で2カ月。京急などでは、再発防止に向け全力で取り組みを加速させている。(外崎晃彦)

 八丁畷駅の踏切事故は午前の通行人が多い時間帯だったが、周囲4カ所の非常ボタンはいずれも押されなかった。「路線の全ての電車が緊急停止する」などの誤解や、電車を止めることに責任を感じることで、非常ボタンを押すことをためらう人が多いという。

 ■全線停止は誤解

 京急の広報課担当者は「いたずらを除き、責任が問われたり、賠償請求されたりすることはない」と強調した上で、「踏切内で動けなくなった人や車を見かけたら、ためらわずに押してほしい」と呼びかけた。

 京急やJR東日本によると、踏切の非常ボタンは、踏切横の電車用信号だけが赤に変わる仕組みだ。安全が確認されれば全ての電車が止まることはない。赤信号は運転士が約600メートル手前から目視でき、時速120キロで走行していても踏切手前で停止できるという。

 京急線の踏切は東京都と県内に計90カ所。全ての踏切に非常ボタンを設置している。京急では八丁畷駅の事故をきっかけに、文字盤に反射素材を用い、赤い文字で目立つように変更するなど非常ボタンの周知と適切利用を促している。

 ■渡り切れぬ高齢者

 京急鉄道本部の小林秀行安全推進部長によると、踏切事故の傾向として「閉まっている踏切を無理に横断する」▽「高齢者が渡りきれない」-の2つのケースが多いという。

 小林部長は「遮断機が下りてから約30秒で電車が踏切に到達する。加齢で体力が低下し、以前のような早さで渡れなかったり、転んだりすることがある」と指摘。警笛が鳴り始めたら絶対に渡らないよう呼びかけた。

 非常ボタンは誤操作防止のため、強く押さないと反応しないように作られている。5日には、京急などが京急川崎駅前で、通行人を対象に非常ボタンの操作体験を初めて実施。体験コーナーを訪れた川崎区の主婦、佐藤香代さん(38)は「(ボタンは)かなり重かった。危険な場面を見かけたら、すぐに押したい」と話した。

 ■20日に横浜駅で

 京急では、14日に品川、20日に横浜、27日に上大岡の各駅周辺で、職員らが通行人に啓発活動を行う。非常ボタンをためらわずに押すことを呼びかけながら、啓発メッセージやイラストが描かれたウエットティッシュを配布する。

 京急の広報課は「非常ボタンの体験コーナー設置によるイベントも含め、今後も踏切事故防止に向けた活動を積極的に行っていく」としている。

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【用語解説】川崎踏切事故

 4月15日午前9時10分ごろ、川崎市川崎区の京急電鉄八丁畷駅前の踏切で、横浜銀行に勤務する児玉征史さん(52)=横浜市鶴見区=が、踏切内に立ち入った無職男性(77)を救助しようとして2人とも快特電車にはねられて死亡した事故。踏切には周囲4カ所に非常ボタンが設置されていたが、いずれも押されなかった。

最終更新:6/14(水) 7:55
産経新聞