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畜産再開、新事業…復興の花開け 福島・葛尾、避難解除1年 帰村1割 

6/14(水) 7:55配信

産経新聞

 東京電力福島第1原発事故で葛尾村に出ていた避難指示が大部分で解除されて1年がたった。村に戻った住民は約1割にとどまるが、今春には主力産業だった和牛の畜産が6年ぶりに再開。風評被害を受けにくい花の特産化を目指す新たな動きも出ている。

 畜産農家の下枝初恵さん(50)の牛舎で4月、村内で事故後初めて子牛が生まれた。村外に預けられ妊娠して帰って来た母牛「かつえ」の子で、復興への願いを込めて「大翔」と名付けた。「明るいニュースを作れてよかった」と初恵さん。村では牛舎の除染完了などを受け、畜産農家4戸の牛44頭が戻った。

 それでも、事故前の95戸が約300頭を飼育していたころにはほど遠い。「助け合ってやってきたから、人手がなくて大変」と初恵さんはこぼすが、帰村後は事故当時は高校生だった長男の宏通さん(24)が手伝うようになった。「牛は怖いから嫌だと言っていたのに、今はかわいくて売りたくないんだって」と笑う。

 新たな産業づくりも始まっている。村は、約1千平方メートルの花の栽培施設2つを建設中だ。地元農家らが立ち上げたコチョウラン栽培の合同会社に貸し出し、秋にも栽培を始める。杉下博澄さん(36)は「地元の復興に携わりたい」と脱サラして参加。各地の産地や市場を視察し、準備を進めている。

 畜産農家の長男だが、短大で花卉(かき)栽培を学び専門知識もある。施設の温度管理のためにボイラー技士の資格も取得し、「栽培開始が待ち切れない」と意欲十分だ。

 村によると、避難指示解除直前の昨年6月1日時点で住民登録していたのは1467人で、今年6月1日時点で戻ったのは約1割に当たる147人。杉下さんも栽培の準備が整えば村に帰る。「事業の成功例を示せば、戻る人が増えるかもしれない」と悲観していない。

最終更新:6/14(水) 7:55
産経新聞

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