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春風亭昇太もはまる「山城」が熱い!“マツコの時代”とリンク

6/14(水) 10:00配信

デイリースポーツ

 「山城(やまじろ)」と聞いて心躍る人は、筋金入りの城好きである。日本の城というと、江戸時代以降に作られた天守閣のある「平山城」を思い浮かべるが、戦国期に山岳地帯に造られた山城がここ2年ほどで注目され始めている。NHK大河ドラマ「真田丸」と「おんな城主 直虎」にリンクしており、「直虎」で今川義元を演じた芸能界随一の“城マニア”である落語家・春風亭昇太もはまっているという山城の魅力を専門家に聞いた。

 まずは“城メグリスト”の萩原さちこ氏に説明いただいた。同氏は「戦う城の科学」「日本100名城めぐりの旅」などの著書を2012年から現在まで13冊出し、全国各地で講演や講座、全国紙のウェブ版や雑誌などでの連載、昇太師匠とはトークショーやテレビのバラエティー番組でも共演している新進気鋭の城郭ライターだ。

 「近世の城は規格化されているのに対し、中世の城は個性的。実際に戦いの舞台に立っている臨場感や興奮があり、山の地形を生かした土木工事でいかに敵をしのぐかという“切羽詰まった感”がある。余計なものがなく、研ぎ澄まされた点が魅力です。山ブームもあってか、景色のよさも山城人気のひとつ。ですが、街道が見下ろせ、敵がどのくらい来ているか、どう攻めてくるのかが分からないと意味がないわけですから、景色がいいのは当たり前なのです」

 昨今、メディアに登場する“スー女(相撲)”や“プ女子(プロレス)”といった、かつては少数派だったジャンルにはまる女性たちの流れに“歴女”があるが、彼女たちとは一線を画する世界が山城にはあるようだ。

 萩原氏は“歴女ブーム”との因果関係を「歴女は城よりも武将好きが多い印象」と否定。「私が一番大きいと思うのは、サブカルが10年くらいかけて文化になった時代背景です。マツコ・デラックスさんの番組が(地上波で)成立する時代ともリンクし、昔は公言できなかった世界に入りやすくなっているのでは」と分析する。

 観光地化された市街地の平山城でなく、ニッチ(隙間)な分野を志向するサブカル精神は山城にも通じる。10年前は山城への獣道を歩いたという萩原氏。「1冊目の著書を出版した5年前、山城は『さんじょう』と読まれるくらいのマニアックな領域でした。定着したのはここ3年くらい。現地を訪れる人も増え、世の中が変わってきたと実感しています」と隔世の感に浸る。

 山城といえば兵庫県の「竹田城」が有名だが、まだ一般的に知られていない“穴場”も多い。著書「『山城』の不思議と謎」(実業之日本社)を今春出した“古城探訪家”の今泉慎一氏にその一部を紹介してもらった。

 「真田丸」ゆかりの城では長野県・上田の本城でなく、群馬県の「岩櫃(いわびつ)城」に注目。「直虎」では静岡県の本拠地「井伊谷(いいのや)城」より、その北東にそびえる峰に築かれた「三岳(みたけ)城」に手応えがあるという。山頂からの絶景が魅力という香川県の「虎丸城」にはその名から阪神ファンが訪れている。

 城好きを公言する有名人も多い。萩原氏は「昇太師匠は落語会のある土地に早めに行かれ、周辺にある中世の城を何十年と巡られてきたそうで、本当にお詳しいです。近世の城好きではプロレスラーの藤波辰爾さん。NMBの山本彩さんも『熊本城が好きです』と理由を挙げて説明してくださり、お詳しいと思いました」と語る。

 萩原氏は「行政と地域と専門家と城ファンと企業の五位一体で山城を盛り上げていければ理想です」と期待を込める。今泉氏は「全国にある城は3万とも4万とも言われますが、その90%以上が山城。平城に比べると資料も乏しいのですが、地形は比較的当時のままなので、逆に言えば『想像する楽しみ』に満ちている。ぜひ現地に足を運んでいただけたら」とアピールした。

 (デイリースポーツ・北村泰介)