ここから本文です

<東名バス事故>「衝撃、気づくと扉なかった」ガイドが会見

6/14(水) 11:51配信

毎日新聞

 愛知県新城市の東名高速道路で10日、中央分離帯を飛び越えた乗用車が観光バスに衝突した事故で、上り線を走行中のバスの前扉付近に乗っていた「東神観光バス」(同県豊橋市)のガイド、山本梅予さん(60)が14日、同社で記者会見した。割れた窓ガラスなどが刺さった顔にガーゼを当て、右腕に大きなあざが残る中、事故の瞬間の様子を語った。

【中央分離帯を飛び越えた現場の断面図】

 梅予さんはバス運転手の山本良宗さん(68)の妻で事故当日はたまたま同じバスに乗車した。梅予さんによると、事故当時は前方の安全確認のため前扉脇にある階段に立っていた。

 突然、右前方から乗用車が飛んできて、思わず体をかがめた。強い衝撃とともに、ガガガガーッという大きな音がして、車内は悲鳴に包まれたという。バスは路肩のガードレールにぶつかり、ゆっくり減速しながら約300メートル先で停車した。気づくと前扉はなくなっていた。

 乗客は協力しながら非常扉から脱出した。旅行会社の添乗員や乗客の看護師が、けが人の止血や傷口の冷却など応急処置をした。

 ドライブレコーダーには、良宗さんが事故の瞬間に右手でハンドルを操作する一方、左手で排気ブレーキのレバーを引く様子が映っている。梅予さんは「急ブレーキがかかっていれば車外に投げ出されていたかもしれない」と振り返った。

 良宗さんは肋骨(ろっこつ)骨折などの重傷で現在も入院しており、事故当時の記憶はほとんどない。ただ、「お客さんの命を守れたことは本当に良かった」と話しているという。梅予さんは「夫のおかげで助かり、乗客も冷静に協力してくれて、感謝しています」と語った。

 県警によると、乗用車が走行していた下り線の路肩のガードレールに接触痕、そこから中央分離帯にかけて横滑りしたようなスリップ痕があった。ブレーキ痕はなかった。

 捜査関係者によると、乗用車が何らかの原因でガードレールに接触した後、車体が右斜めの状態で横滑りし中央分離帯の斜面をジャンプ台代わりにして対向車線に飛び越え、バスに衝突したとみられる。県警は当時、乗用車は制御不能になっていたとみて、運転状況などを調べている。

 事故では乗用車の医師、伊熊正光さん(62)=浜松市東区=が多発外傷で死亡し、バスの乗員・乗客計47人のうち45人が重軽傷を負った。【斎川瞳、横田伸治】

最終更新:6/14(水) 13:07
毎日新聞