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【直撃!体験! ちばの現場】ウィルチェアーラグビー 競技普及へ認知度アップ鍵

6/14(水) 7:55配信

産経新聞

 昨年のリオデジャネイロ・パラリンピックで銅メダルに輝いたウィルチェアーラグビーの日本代表。ただ、観戦する機会は限られ、情報もまだまだ少ない。障害者スポーツの普及を推進する千葉市で行われた体験会に参加し、その魅力を体感してきた。(牧山紘子)

 ◆スピード感、衝撃…

 「ドスン」。乾いた金属音が体育館に伝わる。他の車いすとぶつかるうちに、その衝撃が楽しくなっていく興奮を覚えた。5月下旬に千葉市で行われた「2017ジャパンパラウィルチェアーラグビー競技大会」。日米の代表選手らが熱戦を繰り広げた試合の合間に、観客らが競技用車いすに試乗できる体験会が開かれた。

 記者も試乗してみたが、激しい衝突は車いすがぶつかるだけなので痛みはない。ほかの参加者も衝撃が楽しかったようで、お互いを追いかけたり、挟み撃ちにしたりして車いすの操作を楽しんだ。

 日本代表選手らの指導で前進や後退、回転する参加者ら。東京都港区の会社員、高田拳伍さん(24)は、「腕がしんどかったが楽しかった」。渋谷区役所職員、小島美華さんは「動きたくても動けないもどかしさがあった。選手らは一流のアスリートだと感じた」と汗を光らせた。

 2020年の東京パラリンピックでは、ウィルチェアーラグビーは渋谷区の国立代々木競技場で行われる。小島さんは「観戦したい都民は多い。地元の渋谷区で競技があるので、体験会を参考にしたい」と話していた。

 そのスピード感や衝突時の衝撃は、なかなか体感する機会がない。参加者らは「多くの人に広めたい」「インスタグラムに写真をあげると認知度アップにつながる」と好感触だった。

 日本障がい者スポーツ協会企画情報部長の井田朋宏さんは「体験会で口コミが広がり来場者が増えた」と説明する。体験会は今年で3年目で、参加者は昨年より2倍以上になったという。

 競技の普及に向けては、代表選手自ら先頭に立つ。県内の小中学校はもちろん、都内や近隣県にも足を運び、生徒に車いすの乗り方やゲームを指導。けがをしたときや諦めなかった話もして勇気を与え、食事の時間も一緒に過ごす。選手らはサイン攻めにあうほど人気者になるという。

 井田さんは「誰もがスポーツを通じて人生楽しめるようにしたい」と訴える。しかし、体験会や選手とのふれあいでアピール度は高いものの、まだまだ観戦や体験する機会は少ない。認知度の低さは課題として残されている。

 ◆選手発掘に期待

 選手たちは、普及活動に励めば励むほど、強化に割く時間が限られるというジレンマを抱えながらの活動のようだ。強化につまずけば、競技への関心の低下につながりかねない。

 峰島靖選手によると、現在の日本代表には、障害の程度が軽い「ハイポインター」の選手が少ないのだそうだ。「発掘して育てていきたい」と、チームの弱点補強に期待を寄せる。競技の普及活動は、2020年に向けた選手発掘の一環でもあるようだ。

 千葉市は2020年に向けて、市立の小中学校でパラ競技を授業で取り入れるなど、パラスポーツの浸透と理解促進を重要課題に位置づけている。

 「千葉で“発掘”されたウィルチェアーラグビーの選手が、東京大会でメダルに導く」-。そんな筋書きとなるよう期待したい。

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【用語解説】ウィルチェアーラグビー

 四肢にまひなどのある障害者が車いすでできるスポーツで、1977年にカナダで考案された。1チーム4人で構成され、8分間のピリオドを4回行う。バスケットボールのコートを使用し、専用ボールをゴールまで運びポイントを競う。選手は障害に応じ持ち点があり、障害の程度が重くても軽くても活躍できる。

最終更新:6/14(水) 7:55
産経新聞