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福知山線脱線事故 無罪確定へ 遺族「組織罰でけじめ」

6/14(水) 7:55配信

産経新聞

 ■導入切望「誰かが責任を負わないと」

 事故の責任者を見つけることはできなかった-。最高裁が上告を棄却し、JR西日本歴代3社長の無罪が確定することになった福知山線脱線事故。「司法の限界」を指摘する脱線事故の遺族からは、個人の刑事責任だけでなく企業の責任を追及し処罰する「組織罰」(法人罰)の導入を求める声が上がっている。

 「けじめがついていない。誰も責任を負わないのはおかしい。残念でならない」。事故で長女の早織さん=当時(23)=を亡くした神戸市北区の大森重美さん(68)は悔しさをにじませる。

 遺族らとともに昨年4月に発足させた「組織罰を実現する会」の代表に就任。娘の死を無駄にしたくないとの思いに突き動かされ、「組織罰を求めることは事故で犠牲になった人へのせめてもの償いだ」と語る。

 最高裁は歴代3社長の過失を否定した。現場カーブについて、特に危険性を認識できたとはいえないという判断だった。だが、大森さんは「事故は運転士だけの責任ではない。事故は複合的な要因が重なって起こる。組織としての責任がある」と強調する。企業を処罰する法人罰ではなく、行政組織も対象にする意味で「組織罰」と名付けた。刑法を改正し、業務上過失致死罪の法人処罰に関する法律の創設を目指している。

 法人罰はヨーロッパで広がり、英国では2007年、企業の刑事責任を問うための要件を緩和した「法人故殺(こさつ)法」が制定された。社長らが事故を予測できなかったとしても、企業に上限のない罰金を科すことができるのが特徴だ。

 刑法では、犯罪は意思を持つ人間が起こすもので、意思を持たない法人は想定していない。刑法改正には高いハードルが横たわるが、大森さんは「誰かが責任を負わないと組織は変わらない。経営陣にも責任が及ぶことになれば、しっかりと安全対策をするはずだ」と訴えている。

最終更新:6/14(水) 8:17
産経新聞