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【二宮寿朗の週刊文蹴】「ムチ路線」は不発に終わった

6/14(水) 12:02配信

スポーツ報知

◆2018年ロシアW杯アジア最終予選B組 イラク1―1日本(13日、イラン・テヘラン・パススタジアム)

 タフなゲームを、勝ち切れなかった。勝ち点2を失ったというよりも、勝ち点1を何とか持ち帰ったという感覚に近い。

 気温37・4度、標高1200メートルというテヘランの試合環境を考えても、消耗戦になることは分かっていた。キープ力のある本田圭佑を右サイドで起用したのも、体力をコントロールしたいという意図があったはずだ。

 是が非でもリードを守らなければならなかった。しかし、彼らは死力を尽くした。井手口陽介、酒井宏樹と負傷者が続出した中、全員で戦い抜いた。

 とはいえ、今回のコンディショニング調整はどうだったのか。ここはしっかりと検証しなければならない。

 イラク戦の前に用意された親善試合・シリア戦でハリルホジッチ監督はけが明けの今野泰幸を含めて、イラク戦を想定したメンバーを先発にそろえた。プレーオフ進出を目指すシリアもモチベーションが高く、肉弾戦が繰り広げられた。

 良いテストマッチになった一方で、代償も払わなければならなかった。けがで離脱した香川真司をはじめ、結果的には山口蛍、今野の中盤3人がイラク戦の先発から外れる形となったのだから。

 チームがB組首位に立ったことで、指揮官は雰囲気が緩くなることを懸念していた。メンバー発表会見でも「一番心配なのは、最終的にはいつも予選を突破できているという考え。その罠(わな)にひっかかりたくない」と語っている。心身ともに引き締めにかかり、準備色よりも本番色を強くした。もちろん結果論ではあるものの、「ムチ路線」は不発に終わったと言わざるを得ない。

 一方で指揮官らしい決断もあった。残りのオーストラリア戦、サウジアラビア戦を考えてもセンターバックでもう一人、昌子源に使えるメドが立ったのは実に大きい。

 首位はまだ日本である。悲観することはない。この程度の失敗なら取り返せる。(スポーツライター)

最終更新:6/14(水) 12:02
スポーツ報知