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東京五輪で一気に増える男女混合種目 素晴らしいことだが課題も多い

6/14(水) 10:00配信

スポニチアネックス

 【藤山健二の独立独歩】国際オリンピック委員会(IOC)の臨時理事会で、20年東京五輪の新種目が決まった。先日の世界選手権で吉村真晴、石川佳純組が金メダルを獲得した卓球の混合ダブルスやバスケットボールの3人制、自転車のBMXフリースタイル・パークなどが今回新たに承認され、東京での実施種目は339種目で確定した。昨夏のリオ大会の306種目からさらに増加したが、一方でドーピング違反が相次いだ重量挙げや陸上などの選手数は大幅に削減された。

 野球・ソフトボールやサーフィンなど5競技が追加された際にIOCが掲げたのは「若者へのアピール」だったが、今回は「男女平等」が最大のテーマとなった。IOCは14年に策定した「アジェンダ2020」の中で女性のスポーツへの進出を支援し、男女の参加比率を同等にすることを目標に掲げた。そのための対策として混合種目の採用を推奨したため、今回は各競技団体が男女混合種目を中心に提案。卓球のダブルスや柔道の団体などが希望通りに承認された。この結果、東京での男女の参加比率は前回リオの45・6%から48・8%に向上する。女性が初めて参加した1900年パリ大会の女子選手は全体のわずか2・2%。120年の歳月を経て、ようやく男女同数に近づいた。

 IOCが女性のスポーツ進出に力を入れるのは素晴らしいことだが、課題がないわけではない。五輪の規模はすでに限界に達しており、これ以上種目を増やせば開催できる都市がなくなってしまう危険性がある。たまたま今回は大量のドーピング違反者を出した重量挙げや陸上の参加人数を懲罰的に減らすことで帳尻を合わせたが、いつもそううまくいくとは限らないだろう。

 もう一つの課題は、女性のスポーツ進出が盛んなのは先進国など一部の国に限られるということだ。世界にはまだまだ男女同権すら実現していない国がたくさんある。たとえば宗教的な理由で女性の社会進出が進みにくいイスラム圏はどうするのか。宗教や経済事情にかかわらずすべての女性にスポーツ進出の機会が与えられなければ、本当の意味での「男女平等」は実現しない。現状では男女混合種目のメダルは特定の地域や国に集中する可能性が高く、それはそれでバランスを重視するIOCの理念に反し、結果的に五輪から再び削除されるという事態もありうる。

 大事なことはIOC自身が強力な指導力を発揮して各国に「男女平等」の理念を推し進めることだ。政治ではなく、スポーツだからこそできることもある。今の状態のままでは、IOCの掲げる「男女平等」は絵に描いた餅になりかねない。 (編集委員)

 ◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。