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アングル:求心力低下の英首相、強硬離脱からの修正迫られる

6/14(水) 13:16配信

ロイター

[ロンドン 14日 ロイター] - 英国のメイ首相は、欧州連合(EU)との正式な離脱交渉を前に、自ら掲げてきた強硬離脱方針を軌道修正するよう求める与党・保守党内の声に直面している。

また、政権維持のために進める北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)との閣外協力が地域の政治不安定化をもたらすと批判されるなど、同氏への逆風がおさまらない。

8日の総選挙で保守党が過半数割れに陥ったことから、メイ氏の党内求心力は弱まり、一部はEUの単一市場や関税同盟から離脱する計画をやめるべきだと主張するようになった。

メイ氏はマクロン仏大統領との会談後に「英国民の目的は一致していると思う。EU離脱に賛成票が投じられたことで、政府がこれに基づいて離脱を成功させるということだ」と強調した。

しかしどのような形でブレグジット(英のEU離脱)を実行するかについて、メイ氏に考えを改めるよう求める圧力はじわじわと高まりつつある。

英紙タイムズは、ハモンド財務相がメイ氏にEUの関税同盟からは出ていかないように要請すると伝えた。関税同盟は相互に関税を課さないことを保証している半面、域外の相手と貿易協定を締結するのを禁じている。

同紙の報道は匿名の関係筋が情報源で、財務省自体はコメントを拒否した。それでもメイ氏がEUとの正式な交渉を始めるまでに、なお解決すべき課題があることを如実に物語っている。つまり権力の座を保ちたいなら、保守党内の親欧州派と欧州懐疑派の双方を満足させる政治的立場を見つける必要があるということだ。

メイ氏は、下院で過半数勢力を確保するためにDUPに頼ることになる。だがそれは、北アイルランドにおいて英国との関係を重視する「ユニオニスト」の影響力を高め、アイルランド共和国との統合を望む「ナショナリスト」との対立をあおるリスクをもたらす。メージャー元首相は、メイ氏が進めるDUPとの連携構想は、北アイルランドの両勢力の強硬派が武力闘争を再開するきっかけになり、地域が混乱しかねないと懸念を表明した。

デービスEU離脱担当相は、ブレグジットに向けて従来の路線は変わっていないと主張している。ただメイ氏は、ブレグジットにはより幅広い合意が必要だと認め、この問題で党内のあらゆる勢力の意見に耳を傾ける意向を明確にした。今後はさまざまな相矛盾する要求をさばいていかなければならない。

さらにキャメロン前首相は、メイ氏は野党の声も聞く必要があるが、野党はより穏健な離脱方針を迫るだろうと述べた。

一方でメイ氏を支持してきた保守党議員や党員の多くは強硬離脱に賛成してきたわけで、同氏としては身の処し方が難しい。

英経済動向もブレグジットの受け止められ方に影響を及ぼす可能性がある。英国債は13日、5月消費者物価の前年比上昇率が2.9%に跳ね上がったことを受け、相場が大きく下がった。

ある古参の保守党員は、いつか英国民はEU離脱を後悔すると予言している。

(William James、Alistair Smout記者)

最終更新:6/14(水) 13:16
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