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図書館「ドンデン読み」のススメ 近大が“常識”を逆手に取った学習法提案

6/14(水) 15:00配信

産経新聞

 近畿大学(大阪府東大阪市)で今年4月に開設された約2万2千冊ものマンガを所蔵する新図書館「BIBLIOTHEATER(ビブリオシアター)」が話題だ。かつては「勉強の敵」ともいわれたマンガだが、そんな“常識”を逆手に取った「ドンデン読み」と呼ばれる新たな学習法を提案。関係者たちは「活字離れが進む学生たちに読書の魅力を伝えたい」と意気込んでいる。(香西広豊)

 ビブリオシアターは4月6日、東大阪キャンパス(同市小若江)に開設された。1階は学術書や一般書が中心だが、2階にマンガ本をそろえた「ドンデン」と呼ばれるエリアがある。編集工学研究所の松岡正剛所長が「今までにない大学の図書館スペースをつくりたい」と、自ら監修から選定までを行ったという。

 マンガ本は、30のテーマ(大見出し)に従ってコーナーごとに分けられている。そのテーマも、「時空をめぐる宇宙旅行」(SF作品)、「犯人はこの中にいる」(推理作品)、「一球入魂のメイクドラマ」(野球作品)などこだわりが感じられる。各コーナーには「キーブック」と呼ばれるマンガ本があり、そのマンガ本に関連する新書や文庫本が並べられているのが、このマンガ図書館独自の“仕掛け”だ。

 例えば、SF作品を集めた「時空をめぐる宇宙旅行」のキーブックは、漫画家、小山宙哉(ちゅうや)さんの人気作品「宇宙兄弟」。コーナーの中央部にこの作品を置き、その周辺に宇宙工学者、的川泰宣氏著「宇宙に取り憑(つ)かれた男たち」やジュール・ヴェルヌ著の冒険小説「海底二万里」の文庫本などを配置している。

 新図書館を管轄するアカデミックシアター事務室の岡友美子室長は「この手法が『ドンデン読み』です」と説明する。

 マンガ本を集めたエリア「ドンデン」は、もちろん「どんでん返し」が語源。マンガをきっかけに知的好奇心を刺激し、新書や文庫からその先の書籍へ関心を広げてもらうことが狙いだ。マンガ発で知の奥へ向かう「どんでん返し」が起こってほしいとの期待を込めて名付けられたという。

 岡室長は「まだ開設したばかりなので、とりあえずは多くの学生たちに利用してもらうことが第一歩。1カ所に多くの学生が集まることで、交流や議論の活性化につながっていってほしい」と期待する。

 一方、岡室長は「必要なマンガ本を集めるのに苦労しましたし、今も探し続けています」と打ち明ける。当初開館時には、松岡所長が選定した約3万冊のマンガ本を置く予定だった。近畿大には既存の中央図書館があるが、マンガ本の蔵書はほとんどなし。このため、マンガ本収集はイチから行うことになった。

 なかには、収集家でも入手が難しいといわれる作品もあり、スタッフらが専門古書店などに何度も足を運んで懸命になって探し回った。せっかく目当ての作品を見つけても、店主から「マンガは個人レベルで楽しむものだ」と断られることもあり、マンガ本収集はかなり難航したという。

 なんとか開館にこぎつけることはできたが、岡室長は「入手できていないマンガ本はまだまだあります。今後も地道に入手活動を続けて、蔵書を充実させたい」と話している。

最終更新:6/14(水) 16:27
産経新聞