ここから本文です

「目方はハッキリ申し上げられません。35キロです」…復帰の歌丸挨拶全文

6/14(水) 18:41配信

スポーツ報知

 誤嚥性(ごえんせい)肺炎のため2日から入院していた落語家の桂歌丸(80)が14日に退院し、横浜市の神奈川県民ホールで行われた春風亭小朝(62)との二人会「特選 匠の噺会」に出演した。高座には上がらず、観客へのお詫びの挨拶となったが、約10分間にわたって自らの病気をネタにして爆笑させた。

 歌丸は午前11時頃に横浜市内の病院を退院。同市内の自宅に戻った後、午後0時45分頃に県民ホールに入り、同1時30分からの出演に臨んだ。

 冒頭、会場に「歌丸は肺炎で入院していましたが、今日退院して駆けつけました」とのアナウンスが流れると「おおっ!」という単の声と拍手がとどろいた。

 幕が上がり、高座の前に置かれたイスに腰掛けた歌丸は「(会場拍手)ようこそおいでいただきました。ありがとうございます。この度はお客様を始め、関係各位の方々に大変なご迷惑をお掛けして何とも申し訳がないと思っております」とお詫びの言葉を述べた。

 着物ではなく、シャツにカーディガンとズボン姿。酸素吸引器をつけたままだったが、いつもと変わらない張りのある声を響かせた。

 約10分間にわたって行った挨拶では「ウチにいた時間よりも、病院にいた時間の方が長う(なごう)ございます。先月も病院に行きましたらば、入口で掃除のおばさんに会って『また来たんですか』と…薄情なババアだなと」「普段から無い目方(体重)がガクッと減ってまいります。みっともなくて、今の目方なんてハッキリと申し上げられません。35キロなんです」などと、落語のマクラのように自らの病状をネタにして会場を爆笑させた。

 車で会場を後にする際は、後部座席の窓を開けて報道陣に対し「なんとかなんとか。まだまだです。まだまだ養生しなければなりません」と笑顔を見せた。

 歌丸は今後、17日に日本テレビ系「もう笑点」の収録に参加する予定。また、翌18日には東京・シアタークリエで行われる「春風亭小朝のクリエで落語」に出演し、高座復帰する予定だ。

 肺炎などのため入退院を繰り返している歌丸は今月3日に高座復帰予定だったが、前日に体調不良になり、病院で左肺炎慢性呼吸不全の急性増悪(ぞうあく)と診断されたため、再入院していた。

 以下、挨拶の詳細。

 (会場拍手)ようこそおいでいただきました。ありがとうございます。この度はお客様を始め、関係各位の方々に大変なご迷惑をお掛けして何とも申し訳がないと思っております。

 正直言いまして、1時間半前に退院して参りました(会場拍手)。今年のお正月の2日から今日まで入退院を繰り返しておりまして、ウチにいた時間よりも、病院にいた時間の方が長う(なごう)ございます(会場笑)。

 先月も病院に行きましたらば、入口で掃除のおばさんに会って「また来たんですか」と…薄情なババアだなと(会場笑)。

 誤嚥性の肺炎です。誤嚥性。つまり、間違った飲み方食べ方をしたことによる肺炎でございます。飲んだり食べたりいたしますと、ご案内の通り、食道を通して胃や腸に食べものや飲みものがいくのですが、誤嚥性、間違った方法で飲んだり食べたりいたしますと気管支の方に入ってしまうんです。気管支を通して、食べものや飲みものが肺に着いて、そこからバイ菌が繁殖して肺炎を起こすという…実は今朝もテレビでやってました。大変に多い病気だそうです。日本の死因の第3位がこの誤嚥性の肺炎なんだそうでございます。

 最近では中村勘三郎さん、それから…えー…古い俳優の方(会場笑)。何人か。何やら、三橋美智也さんの歌まで「ご縁があったらまた会いましょう」と(会場笑。1956年の曲『縁があったらまた逢おう』より)。会いたかありませんね(会場笑)。ですから今回、私、何回目かの誤嚥性の肺炎で入院をしたのでございますが、早期に今回は発見されたもんですから意外と短期間で出てくることができました。

 まず食欲が無くなるんですね。3日間くらい何にも食べたくなくなる。それが過ぎますと微熱が出てまいります。で、おかしいなと思ったら、今回はすぐに病院に行きましたらば、発見が早かったせいで意外と短くて済みました。

 とにかく、ものが食べられないんですから、1日に2回くらい点滴でもって栄養を取っていましたが、普段から無い目方(体重)がガクッと減ってまいります。みっともなくて、今の目方なんてハッキリと申し上げられません。35キロなんです(会場笑)。

 たぶんご経験者もいらっしゃると思うんですけども、病院でベッドに寝てますと暗くなりますね。まあ病院で寝ていて、いちばんの望みは、早く良くなって退院をしたいということなんですが、あんまり病気のことばかり考えていて陰気になってしまっては、お客様型に笑っていただくのが私たちの商売ですから、芸が陰気になっちゃいけないと思って、あまり陰気なことは考えずに陽気なことばかりを考えてました。

 ただ、ついてない時というのは恐ろしいもので、9日の金曜日の日でしたか、夜、ベッドに寝ていて、寝返りを打つために左手を付いて体を動かしたんですよ。そしたら、はずみというのですか、ガクッとなりまして、稀勢の里みたいに肉離れを起こしてしまって。で、痛くて痛くてこんなに腫れ上がってしまって、呼吸科の病院ですから、整形外科がありませんので。でも、先生が気を利かせて、すぐに湿布や何かで冷やしてくれて、痛み止めの注射を打ってくれて、腫れはすぐにひいたんですけれども、手を使うことも出来ませんので、下ろしても痛いし、裏返しても痛い。しょうがないから片っぽの手で支えたら、これがいちばん楽だったんです。自分で(鏡を)見てますと、干してある幽霊みたいなので(会場笑)。気持ちが悪いのでやめましたけれども。

 その次の日の土曜日でしたか。看護師さんが私の座布団を引いて下さって、おしりのちょっと上のところをこう指で押さえて「歌丸さん、ココかゆくありませんか」「かゆくないです」。「痛くありませんか」「痛くないですよ」と。先生がそこへ入ってきてご覧になって「あー歌丸さん、カビが生えてますよ」って。カビが生えるって…。だから、先生に言いました。「だから私の肌はモチ肌なんです」。(会場拍手・笑)。すると「ガサガサです」と。シャレの通じねえ先生だなって(会場笑)。

 いい気になってはいけないと思って、病を笑いに結びつけよう結びつけようと考えておりました。本来でございますと、着物を着て高座の上からお客様に一席聴いていただかなくてはいけないのですが、肺炎は良くなったんですけど、呼吸器の方が完全に治っておりませんで、息苦しゅうございます。酸素吸入器を付けておりませんとしゃべれませんので。

 お友達というのはあり難い者です。(落語芸術協会)副会長の(三遊亭)小遊三師匠、(林家)たい平師匠が代演に駆けつけてくれました。(春風亭)小朝師匠にもご迷惑をお掛けして、何とも申し訳ないと思っております。小遊三師匠とたい平師匠を私は立派な方だと思いました。私の代演に来たのに無料で来てくれたんです。お二人方に足を向けて寝られません(会場笑)。

 私もこれから演りたい噺がありますし、まだまだ覚えなくてはならない噺があります。今度、お客様方にお目に掛かる時には高座の上から着物を着て、一席としてお会いもしたいと思っております。

 今日はお詫びに伺いました。これからは3人の匠の落語会。小朝師匠、小遊三師匠、たい平師匠の落語を十分に楽しんでお帰りいただきたいと思っております。

 私は心からお客様方にお詫びを申し上げます。本日は何とも申し訳がございませんが、こういう理由でございますので、許していただきたいと思います。また、何かの時には恩返しをしたいと思っております。ごゆっくりとどうぞお過ごし下さいまし(会場大きな拍手)。

最終更新:6/14(水) 18:41
スポーツ報知