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ぜんそく症状 呼気で判別 斎藤医師(福医大)ら開発、治療法把握へ

6/14(水) 9:17配信

福島民報

 福島医大医学部呼吸器内科学講座の斎藤純平医師(46)は、ぜんそく患者への治療薬の効果を簡易に調べるシステムを企業と共同開発し、特許を申請した。専用の機器で患者の呼気を計測して病態を判別する世界初の技術で、16日の日本アレルギー学会のシンポジウムで成果を発表する。患者の負担を軽減し、より効果的な治療につなげる手法として普及を目指す。
 新システムでは、ぜんそく患者が10秒間ほど吹き込んだ呼気中に含まれる硫化水素(H2S)を計測する。H2Sの濃度から難治性患者の気道内に多くみられる炎症のパターンを把握する。
 ぜんそくを引き起こす気道の炎症には、複数のタイプが存在することが分かっており、せきや息苦しさの原因となる炎症を抑える一般的な治療として吸入ステロイド薬が知られている。しかし、炎症のタイプによっては投薬を続けても十分な効果を得られない事例もあり、治療法の的確な組み合わせが課題となっている。
 斎藤医師はぜんそく患者の痰(たん)に含まれるH2S濃度から吸入ステロイド薬の効果を判断していた。しかし、痰の採取は気管支の弱いぜんそく患者には負担が重く、必要量を取れない場合もあった。痰と呼気は同じ気道を通り、成分が似通っている点に着目。痰と同様に呼気のH2S濃度からも薬の効きにくい炎症タイプを把握できる-との仮説を立て、計測機器メーカー「ジェイエムエス」(東京都品川区)と昨年6月から開発に着手した。
 学内の倫理委員会で臨床研究の承認を得た上で、付属病院の患者約80人に1月からシステムを使用。薬の効きにくい炎症タイプの患者は、健常者や効きやすい患者に比べて呼気中のH2S濃度が高い傾向が裏付けられた。
 新システムで病態を見極められれば、吸入ステロイド薬に加え、他の治療方法を選択すべきかを迅速かつ正確に判断できる。斎藤医師はシステムの一般診療への普及を目指し、医療機器の認証や保険診療の適用を見据えている。「患者が増加傾向にある慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺がんなどの呼吸器疾患にも応用したい」と話している。

■患者の負担軽減に期待

 国内のぜんそく患者は平成26年の厚生労働省の調査で推計117万人に上る。日本アレルギー学会指導医で福島市の大原綜合病院の海瀬俊治副院長(64)は「ぜんそくの症状を呼気で調べられれば患者の負担を減らせ、苦しんでいる人により適した治療を提供できる」と評価している。
 ぜんそくを患う福島県北地方の50代女性は「痰や血液による検査は痛みや時間を伴い苦しかった。息を吐くだけで自分の状態が分かれば助かる」と期待した。

福島民報社

最終更新:6/14(水) 14:23
福島民報