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英メイ首相との45分、筋金入りの「かたくなさ」に改めて驚く

6/14(水) 17:12配信

The Telegraph

インタビュー後の敗北感

 素晴らしい。それならばと、今度はメイ首相の面白さを自然に引き出す方法を教えてほしいと頼んでみた。しかし友人たちは黙ってしまった。しばらくして一人がこう言った。「健闘を祈るよ!」と。

 主観で勝手なことばかり言っていると思われる前に言っておきたいが、紹介記事を書くに当たり、私は許可を得て首相の密着取材を行った。メイ氏に対面する前の数か月間、選挙区での遊説、首相府でのパーティー、議会演説の場にも立ち会った。

 インタビューそのものは、まるで和平協定交渉のようだった。首相に近い人物からは、「このインタビューが自分自身のことをもっと明らかにするべき機会であることは彼女も分かっていると思う」と言われていた。私は事前にいくつか質問を送っておいた。

 ところがインタビュー当日、メイ首相は固く心を閉ざしていた。心の内を見せる機会だと本当に理解していたのなら、意図的に見せなかったということになる。

 紺色のスーツを着た首相は、水の入ったクリスタルのグラスを片手に堅苦しい様子で座っていた。まずは紅茶やコーヒーでも飲みながら、といった余裕はない。与えられた時間は45分。努めてリラックスしてみたが効果はない。仕方ないので質問のペースを上げた。残念ながら収穫はゼロだった。

 20分ほど経過したところで、暗礁に乗り上げた。首相の座に就いた感想を聞き出そうと必死になった私は、矢継ぎ早に質問していた。「不安を感じることは?」「首相を引き受けることにためらいはなかったのか?」「警備も厳しくなり、窮屈に思うことは?」「首相になった今、市井の人々との距離が遠ざかるのではないかと心配か?」

 メイ氏はいずれの質問も一蹴した。

 また同じ質問をするか。いや、もうあきらめた方がいい。時間がない──私は葛藤しながらも、質問を続けた。

 気付けば、日の暮れた首相府の外で、わたしは敗北感を抱いて突っ立っていた。周到に準備したのに、ほとんど何も聞き出せなかったのだ。

 しかし、録音したインタビューを聞き直してみて驚いた。質問は悪くなかったのだ。だが、感情を引き出そうとする私と、それを拒む首相との攻防戦。その間に時折訪れるぎこちない瞬間。これらを改めて耳にするのはつらかった。

 そのインタビュー記事が掲載された後も、もちろん、メイ首相の動向は追い続けていたが、驚かされたのは彼女の言葉遣いがほとんど変わっていないことだった。彼女が使用する冷淡な言い回しに込められた真意にも私は通じるようになった(例えば「brightest and best(よりすぐりの人材)」は、優秀な頭脳は移民として受け入れるが難民は要らないと言いたいときに使う)。

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最終更新:6/15(木) 8:22
The Telegraph