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大人気「長崎の尾木ママ」県立大の村上教授 愛や命の大切さ伝える

6/14(水) 10:46配信

長崎新聞

 「そっくり。一度会ったら忘れられない」。取材先で出会ったのは、県立大経営学部教授の村上則夫さん(60)。見た目はもちろん、女性のような話し方、内股でしなやかな身のこなし-。人は彼を「長崎の尾木ママ」と呼ぶ。経営学部の教授と聞くと堅いイメージだがユニークな講義で学生にも人気だ。取材を進めると、人に寄り添い「愛」や「命」「絆」の大切さを訴える姿が見えてきた。

 「学生さんはみーんな私の恋人なのよ。うふふ」。資料をいっぱいに詰めた洗濯かごをさげ、恋人たちが待つ講義室へ向かう。楽しんでもらうため音楽を流したり、マジックを披露したりすることも。学内では「尾木ママ」で通じる。授業の合間には学生と“カフェタイム“でくつろぐ。

 研究室は、ぬいぐるみや大好きなネコの写真がところ狭しと並んだ乙女な空間だ。甘い香りのアップルティーやお菓子が出てくるなどまるで喫茶店。ふとした瞬間に「還暦のおじさん」の素顔が出てこないか、注意深く観察したが、どこまでも「ママ」だった。

 本家は、情報番組やバラエティー番組で親しまれる一方、教育行政に対する辛口の指摘でも知られる教育評論家の尾木直樹氏。村上さんは、ある日学生から「先生にそっくりな人がテレビに出ている」と言われて見たところ、実際に似ていたので驚いたという。

 秋田県出身で、県立大に赴任し30年になる。自称独身。学生に話を聞いてもらいたい、寄り添いたいという思いから女性的なスタイルができあがった。専門は社会情報学。人が幸せになる情報の使い方を探究する。「生きる力」を身に付けてほしいと、自発的に情報を集め、考え、発信することを重視して指導する。

 「自分で気付いていない能力を引き出すのが私の役目」と村上さん。ゼミ生は「学生愛が強くいつも気にかけてくれる。先生を嫌いな人はいない」と口をそろえる。

 実は市行政不服審査会会長や市市民協働推進委員会委員といった「お堅い肩書」も多数持っている。地域活性化やまちづくりについて講演する機会も多い。常に訴えるのは「命の尊さ」と「生きること、愛することの素晴らしさ」。突き詰めて考えるようになったのは11年前。突然がんを宣告され、初めて「死」を意識した。

 「無駄なものは何一つない。いいときも悪いときもありのままの自分を引き受け、今を丁寧に、喜びのうちに生きていきましょう」-。長崎の尾木ママは今日も、人々に寄り添い、愛を紡ぐ。

長崎新聞社

最終更新:6/14(水) 10:46
長崎新聞