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破格の千円ずし「弟子」が守る 「店を続けて」惜しむ声相次ぎ、病気の店主に替わり

6/14(水) 10:42配信

西日本新聞

 長崎市銅座町の人気すし店で、3月末から休業していた「志乃多(しのだ)」が近く、約50メートル離れた別店舗に引き継がれる。病気でカウンターに立つことが難しくなった店主の椎名誠さん(75)に替わり、約5年前から店で働く西坂直輝さん(35)がすしを握る。1人前千円の破格のにぎりずしで地元に親しまれてきた店。弟子のような存在の西坂さんは「大将とお客さんのためにも無くしてはいけない」と、店を継ぐことを決意した。

⇒【画像】「本日休業」の札が掲げられたままのすし店「志乃多」

 志乃多は1969年秋に開業。神戸市で修業を積んだ椎名さんが初めて出した店で、30年以上前からは小西喜代志さん(61)と2人で握り続けてきた。開業以来、安値を維持し「1人前千円」は約20年前から。学生にも人気で、7人ほどしか座れない店内は常に満席だった。

 しかし約10年前に椎名さんが心筋梗塞を患い、店に立つことが徐々にきつくなっていたという。店舗周辺で進む再開発の影響もあり、椎名さんは2月ごろ、西坂さんに「もう店ば閉めるけんね」と告げた。

 閉店が近づくにつれ、常連客からは「店を続けて」「給料日に食べに来ることが楽しみだった」と惜しむ声が相次いだ。西坂さんにとっても幼少期から両親に連れられて来た思い出が詰まった店。「大将が大事にしてきた味を、お客さんにずっと口にしてもらいたい」と思うようになり、同じ通り沿いに新店舗を構えることになった。

 新しい店名は「しのだ」。できるだけ志乃多の雰囲気を残そうと、狭いカウンターや料金は変わらず、すしおけやネタを書いた看板も持ち込む。西坂さんは「不安も多いが、おいしそうに食べるお客さんを見るのが楽しみ。変わらない味と言ってもらえるように努めたい」と笑う。椎名さんは「時々客としてカウンターに座りたい」と話している。

=2017/06/14付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:6/14(水) 10:42
西日本新聞

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