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人口400人の全国最少の村、議会廃止し「村総会」検討 住民は戸惑い 高知県大川村、議員のなり手不足深刻

6/14(水) 14:47配信

西日本新聞

 人口約400人。離島を除けば全国最少の高知県大川村が12日、議会を廃止し、有権者が予算などの議案を直接審議する「村総会」設置の本格的な検討に入った。背景にあるのは議員の深刻ななり手不足だ。先例は1951~55年、東京の離島・旧宇津木村(八丈町)のみ。開催規定などルール作りはこれからで、曲折も予想される。四国の山間部にある小さな村の“実験”は、本格的な人口減社会に突入した二元代表制のあり方を問い掛ける。

 「行政に対しても議会に対しても村民の関心が薄れているのでは。どうすれば村議会が維持できるのかを勉強したい」。12日開会した村議会で、和田知士(かずひと)村長(57)はこう表明した。「私は議会制民主主義を大変重んじている」と議会の維持を前提とする考えを述べた上で、2年後の村議選で立候補者が定数(6)に足りない事態に備えて村総会の調査研究を進めるよう、副村長らに指示したことも明らかにした。

議会廃止を視野に入れた村の対応に、住民は戸惑い

 村総会は地方自治法で設置が認められ、原則、議会の規定が準用されるものの具体的な規定はない。開催要件を議会に準じた場合、有権者の半数以上、同村では約350人中180人程度の出席者が必要となるなど現実的ではなく、運営ルールは村が条例で決めることになる。しかし総務省によると、旧宇津木村に関する公的な資料は「確認できていない」。和田村長も「相当大変なものになる」と条例制定作業の難しさを認める。

 村議会の議員報酬は15万5千円。議員6人の平均年齢は70・8歳。過去4回の村議選は2回が無投票で、2003年は定数割れのまま全員当選した。村総会の可能性を20年以上前から、歴代の計4人の村長に投げ掛けてきたという朝倉慧(あきら)議長(77)=5期目=は、この日の村長の表明を「究極の過疎が進む地域への危機感はわれわれも同じ」と評価。執行部と議会はそれぞれ年内に一定の方向性を出す考えだ。

 将来的な議会廃止を視野に入れた村の対応に、住民は戸惑う。商店主の明坂義和さん(79)は「総会は無理だと思う。高齢者が多いし、集まるだけでも大変。みんなが好きなことを言い合って、収まりがつかんね。意見の食い違いは近所付き合いにも影響する」と否定的。「議会の存廃とか考えたこともなかった」と言う村森林組合職員の近藤雅彦さん(50)は「議会の中だけじゃなしに、村民に対しても今の議会がどんな状況なのか、まず詳しく説明してほしい」と注文した。

【ワードBOX】町村総会

 町村議会に代わり、有権者全員で予算や条例などの議案を採決する。地方自治法は「普通地方公共団体に議会を置く」と定める一方、町村に限っては「議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる」と規定する。定足数などの開催ルールは原則として町村議会の規定を準用するが、総務省によると、地域の実情に合わせて条例で定めることもできる。

西日本新聞社

最終更新:6/14(水) 14:47
西日本新聞