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ラミレス采配の「信」と「忍」を支える矜持

6/14(水) 13:16配信

ベースボールキング

 就任2年目のアレックス・ラミレス監督が率いるベイスターズは、6月13日終了時点で、27勝32敗2分のセ・リーグ3位につけている。

 借金が残る現状では、Aクラスと胸を張るのは難しいかもしれない。

 だが、ジャイアンツが球団史上ワーストの13連敗、スワローズも交流戦開幕からの10連敗を喫する一方で、最長でも4連敗が一度だけ、かつ同一カード3連敗が一度もないまま61試合を消化したベイスターズは、比較的安定した戦いを続けていると評価することはできるだろう。


◆ 忍耐強い指揮官の選手起用

 ここまでのラミレス采配を振り返って真っ先に思い浮かぶのは、「信」あるいは「忍」の一字である。選手起用がとにかく我慢強いのだ。

 開幕から出遅れたのは、プロ3年目、遊撃手のレギュラーを張る倉本寿彦だ。10試合をこなした時点での打率は.118。浮上のきっかけをつかめず、倉本自身がスタメン落ちを申し出ることも考えていたほど、状態は深刻だった。

 それでも指揮官は、背番号5を信じ続けた。

「私は、レギュラーと決めた選手に対してはガマンをするタイプの監督だ」

 メディアの質問に堂々とそう答え、結局、メンバー表に倉本の名前を書き込まない日は一度としてなかった。

 同じくレギュラーに任命したリードオフマン、桑原将志に対しても、主砲の筒香嘉智に対しても然り。桑原は23打席、筒香は33打席にもわたってノーヒットが続いたことがあったが、故障以外の理由でスタメンから外すことはなく、「必ず復調する」と、その時をひたすら待ち続けた。


◆ 信念を支える経験

 昨シーズンも、一時、不振を極めたホセ・ロペスを使い続けて復活に導いたことがあったが、こうしたラミレス監督の信念の固さはいったいどこからくるのだろうか?

 気になって、一度、尋ねてみたことがある。

 それは、就任1年目を終えた後にインタビューした時のことだ。

「あなたはなぜ、信じることができるのですか。監督の人生の中で、信じることによって必ず何かが実現するという原体験があるからですか」と問うたのだ。

 ラミレスは深くうなずき、言った。

「私自身、野球人としていろいろなことを達成してきた。ジャイアンツの4番という、日本で最もプレッシャーのかかる立場も経験したし、(外国人選手として史上初の)2000本安打も達成した。それらは、『この方法でやっていくんだ』と信じてやり続けたからこそできたことだ。自分の人生を通して、信じることによって実現することがあるという実体験があるからこそ、私は信じることができるんだ」

 選手を信じきる力の源泉。それは自らの体験にあると語ったのだ。

 言うなれば、ラミレスが選手を信じることができるのは、選手を信じている自分を誰より信じているからなのだ。


◆ 信頼の先に

 もちろん、選手を何の根拠もなく信じ、起用し続けているわけではない。

「彼らはどんな時も下を向くことなく、練習に一生懸命取り組んでいる」

 常々そう口にするように、ラミレスは選手たちの野球に向き合う姿勢を観察することを怠らない。試合前の打撃練習中にはしばしば外野のほうへと歩いていき、そして遠くからバッティングケージに目を凝らす。

 ラミレスがその狙いを明かす。

「ケージの後ろからではなく反対側から見ることによって、選手のバッティングの状態がよくわかる。引っ張っているのか、逆方向を意識しているのか。そういう意図がわかれば、それに沿ったアドバイスもできるからね。いろいろな角度から選手を見ることは、自分にとってとても有益なんだ。誰がサボっていて、誰が一生懸命やっているのかもよく見えるよ(笑)」

 下を向くことなく、真摯に野球に向き合う姿が見られる限り、ラミレスのほうが先に折れることはない。「いまの立場を守るか、手放すか。それは選手たち自身の手に委ねられている」という言葉が、指揮官のスタンスを明確に表している。

 セ・パ交流戦も残り5試合。2位のタイガースとは8ゲームの開きがあり、4位のドラゴンズは1ゲーム差にまで迫ってきている。

 粘り強くいまの順位をキープし、上位戦線に食い込めるかどうかは、ラミレスが信じて使い続けるレギュラーたちの奮起にかかっている。

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