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住宅ローンのボーナス返済にひそむリスク

6/15(木) 8:10配信

ZUU online

今年も夏のボーナスの季節がやってきました。2017年夏のボーナス支給日は、公務員が6月30日、民間企業は7月初旬といわれています。貯蓄か消費か迷っている人もいれば、住宅ローンの返済に充てる人もいるでしょう。しかし、住宅ローンのボーナス返済には思わぬ落とし穴があります。現在の返済プランが最適なものになっているかどうか、ボーナスを機に見直してみてはいかがでしょうか。

■ボーナス返済とは何か

住宅ローンのボーナス返済とは、「毎月返済」と「ボーナス返済」の2つを並行しておこなう返済方法です。金融機関によっては「ボーナス時“併用”返済」と表すこともあるようです。他の返済方法と併用することのないクレジットカードのボーナス払いとはまったく別のものです。

住宅ローンのボーナス返済では、借入額を毎月返済分とボーナス返済分に分けてそれぞれ返済していきます。たとえば1,000万円を35年ローンで借りるなら、700万円を毎月返済分、300万円をボーナス返済分、というように分けます。配分は自由ですが、通常は半分までが上限です(フラット35なら40%まで)。返済回数は毎月返済が12ヶ月×35年=420回払い、ボーナス返済は年2回だとして2回×35年間=70回払いになります。

ボーナス払いを含むことによって、月々の返済額が軽くなるのがボーナス返済の大きな魅力です。年間支払額120万円をすべて毎月返済すると月々の返済額は10万円ですが、20万円分をボーナス返済にすると、8万3,000円程度で済みます。ただし、1万7,000円分トクしたわけではありません。その分ボーナスから持っていかれるのです。プールの水を1つの栓から抜くか2つの栓から抜くかの違いで、減らさなくてはならない水の量は同じなのです。

■ボーナス返済で返済総額が高くなる?

ボーナス返済の最大の問題点は、毎月返済のみで返済するよりも返済総額が高くなることです。ボーナス返済はいわば「まとめて支払う方法」なので、年1回または2回といった少ないタイミングがくるまではローン元本が減りません。一方、毎月返済は少しずつでも元本が減っていきます。利息は元本に対して発生するので、ボーナス返済は支払いを先延ばしにしているぶん、利息が余計に発生してしまうのです。

例えば、3,000万円を金利2%で35年間借りた場合、ボーナス返済の割合によって返済総額は以下のように変わります。

【毎月返済のみの場合】
 毎月の返済額:9万9,378円
 ボーナス月の増額分:0円
 返済総額:4,387万4,068円

【借入額の10%をボーナス返済にした場合】
 毎月の返済額:8万9,440円
 ボーナス月の増額分:5万9,798円
 返済総額:4,388万4,232円

【借入額の50%をボーナス返済にした場合】
 毎月の返済額:5万9,627円
 ボーナス月の増額分:23万9,193円
 返済総額:4,391万4,964円

毎月返済のみと50%のボーナス返済では、返済総額に3万円の差が出てしまいます。3万円を大きいと捉えるか小さいと捉えるかはそれぞれですが、金利や返済期間によってはさらに大きくなることも考えられます。ボーナス返済は、一見月々の返済額が少なくなるように見えますが、実際には返済総額が高くなることを覚えておきましょう。

■ボーナス返済は必要か?

支払わなくてはならない金額が増えるだけなのであれば、ボーナス返済は何のために存在しているのでしょうか。ひとつには、売る側の都合があります。ボーナス返済を前提にすれば、月々の返済額を少なく見せることができます。月10万円よりも月8万円のほうが買ってくれる人が多いのは明白でしょう。そのため、ハウスメーカーや住宅ローンの広告にはボーナス払い込みの小さい返済額を提示して「月々〇万円で家が買える!」とアピールしているものがよくみられます。

もちろん利用者側にメリットがないわけではありません。ボーナス返済を併用することによって返済期間を短縮すれば、返済総額を減らせます。余裕のある月々の返済額に少し上乗せすれば短い期間で完済が可能になり、支払う利息が少なくて済みます。返済期間を短縮するためであれば、ボーナス返済は返済総額を抑える有効な手段になります。

ただし、それは今後もボーナスが出続けるという前提に立っています。企業の賞与は業績に大きく影響されるので、将来的にも安定してもらえる保証はありません。2016年の夏季賞与の支給状況によると3割以上の事業者ではボーナスそのものがなく、特に中小企業は厳しい状況です。

ボーナスが思うように出なくなったからといって、簡単に返済方法の条件変更はできません。金融機関は基本的にリスクが高くなる条件変更には慎重です。ボーナス払い分の減額や毎月返済のみへの変更ができたとしても、月々の返済額の急激な増加に家計が耐えられるかという問題もあります。返済額をそのままにしてボーナス払いをやめるとなると、返済期間や返済額の変更が必要となり、新たに審査にかけられることになります。

■条件変更が難しければ借り換えも検討を

ボーナス返済は、公務員などのボーナスが確実に支給されるような職業であれば、月々の返済額を減らす有効な手段といえ、返済期間の短縮のために活用するのも良いでしょう。しかし、返済期間はそのままで借入額の多くの割合をボーナス払いにしてしまうと、知らないうちに返済総額が膨らむことになりかねません。さらに、ボーナスが思うように出なくなった時に深刻な事態に陥ります。

すでにボーナス返済を併用してしまっている場合は、見直しができるか金融機関に相談してみましょう。難しい場合は借り換えも視野に入れることをおすすめします。現在は超低金利水準が続いており、住宅ローンの借り換えのチャンスです。ボーナス返済の見直しを機に、思い切って借り換えてしまうことも、今後の家計を真剣に考えるなら、起こすべき行動といえるでしょう。

(提供:住宅ローンのすゝめ)

最終更新:6/15(木) 8:10
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