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「データつなぎ、新たな価値を生む」 富士通が挑む省エネ

6/15(木) 7:10配信

スマートジャパン

■IoTによる省エネ化サービスなどを提供

 「エネルギーに関わるデータをつなぎ、新たな価値へと変えていく」 富士通 社会システム営業本部 新エネルギービジネス推進統括部長の今田泰弘氏はこう語る。

【日本工営の取り組みの詳細イメージ】

 同社は2016年4月の電力小売全面自由化に伴い、これまで事業部ごとに推進していたエネルギー関連のビジネスをまとめて、エネルギーICTソリューションとして統合した。強みとするIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)技術、コンサルティングをベースとしながら、設備管理や太陽光発電監視サービスなどを提供している。

 「核である製造業という観点からみても、エネルギーを使う立場でもあるため、利用者としての経験も生かしたソリューション作りを進めてきた」(今田氏)

 2015年9月には日本工営と協業し、IoTによる省エネ化サービスを提供することを発表した。富士通が展開する建物内のエネルギー使用量の可視化と照明設備の遠隔制御を可能にするクラウド型EMS「Enetune-BEMS*)」、日本工営が培ってきた建物設備の省エネコンサルティングや回収技術を組み合わせ形となる。

*)正式名称は「FUJITSU Intelligent Society Solution Enetune-BEMS」となっている。

 電力使用状況の監視からコンサルティング、設備の導入工事までを一貫して提供することで、エネルギー使用量削減を実現するという。

 富士通 新エネルギービジネス推進統括部 第一推進部 シニアマネジャーの山田新次郎氏によると、Enetune-BEMSでは複数の事業所にセンサーを設置し、クラウドにデータを集約することで、横断的なデータの管理(拠点間ベンチマーク機能)を可能にする。富士通研究所で開発した電力需要を予測するアルゴリズムを実装し、気象情報から当日の電力需要を予測する他、デマンド制御や再エネ設備制御などの機能を備えている。

 これらの機能は他のBEMSにも既にあり、山田氏も「計測機能は出尽くしているため、BEMSだけで差別化できるとは思っていない。省エネコンサルティングで国内最大級の日本工営と、データの可視化から運用までを提案することで差別化を図りたい」と語る。

 富士通と日本工営は1年間にわたり、省エネ化サービスの実証実験を行った。延床面積約1000平米、ラックスが約200台ある富士通ソリューションスクエア(東京都大田区)のサーバルームで、電力使用量の削減効果について検証を行った。

 施設管理部門に施設内の電力使用状況や設備状況をヒアリングした結果、一部のサーバルーム内に熱だまりがあることが判明。センサーを活用して電力使用状況と温湿度情報を継続的にモニタリングし、そのデータを基に空調搬送動力を遠隔制御で調整するなど、詳細なチューニングを行ったという。これによりサーバルーム内の室温を保ったまま、約27%の電力使用量削減を実現。年間で約200万円の電力料金に相当する。

■補助金の申請支援も推進

 福島県伊達市では、約45カ所の公共施設にEnetune-BEMSを導入した。東日本大震災以降、市内の小中学校に新しくエアコンの導入を行ったが、電気代が震災前に比べて30%程度上がったことが背景にある。富士通と日本工営はEnetune-BEMSによるエネルギーの見える化に加えて、ピークカットなど電力使用に関する運用の改善を行い、施設全体で10%以上のエネルギー使用量の削減を実現した。

 食品スーパーに導入した事例では、店舗設備のメンテナンス項目見直しや商品陳列方法の見直しなどを行った。LED照明やナイトカバー、インバーターなど省エネ設備を導入している店舗においても、約10%の消費電力量削減につながったとする。

 山田氏は「食品スーパーは省エネ化が進んでいる店舗が多い。そのような中で、ファンの汚れの清掃やインバーターの故障検出により、年間約300万円の電気料金削減に成功した。顧客からも『思っていた以上の効果が得られた』と評価を頂いた」と語る。

 省エネ化サービスの初期費用は、センサー設置などの環境構築と省エネ計画作成などで500万円から。その他、Enetune-BEMSやコンサルティングのランニングコストを要する。山田氏によると、25か所までの計測にかかる基本料金は月額約8000円という。

 また富士通はエネルギー管理支援サービス事業者(エネマネ事業者)向けに、経済産業省が実施する省エネルギー投資促進に向けた補助金の申請支援も推進している。2017年度中にはコンソーシアムを設立し、エネマネ事業を支援する体制を構築予定。これらの付加価値により、2020年度までに100件以上の受注獲得を目指すとした。

■VPP関連技術にも注力

 富士通ではその他、太陽光発電監視サービス「Venus Solar」の提供やVPP(バーチャルパワープラント)技術の取り組みも進めている。今田氏によると、2017年4月に施行された改正FIT法に伴い、O&M事業者にVenus Solarの引き合いが増えているという。

 「エネルギー分野はこれから市場が形成されていくため、当社もまだ見えていない部分はある。しかし生まれてきたデータをつなぐことで、新たに見えてくる価値があると思うので、それを生かしたソリューションの提供に取り組んでいきたい」(今田氏)