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帝王ニクラスも苦言 全米OPコース様変わりに協会の苦悩

6/15(木) 15:52配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 15日から始まる全米オープンゴルフの会場は、2006年にオープンしたエリンヒルズゴルフコース(ウィスコンシン州)というパブリックのゴルフ場だ。北米大陸中部に位置する。

 1895年にスタートした今大会は、バルタスロール(ニュージャージー州)、オークモント(ペンシルベニア州)、オリンピック(カリフォルニア州)、メリオン(ペンシルベニア州)といった歴史のある名門コースで開催されてきた。しかし、コースの総ヤーデージを延ばすことができず、近年のトッププロたちの飛距離に対応ができなくなりつつある。300ヤード以上も飛ばすプロが増えてくると、450ヤードのパー4でも2打目はショートアイアンかウエッジでグリーンを狙える。従来からの全米オープン設定であるフェアウエーを狭くして、ラフを深くすることが、必ずしも難易度を上げることにつながらず、選手の能力を最大限引き出せるコースとしては物足りなくなってきたのだ。

 その点エリンヒルズは、メジャー大会を開催するのに十分な難易度がある。2011年の全米アマチュア選手権は7760ヤード・パー72で開催されたが、7800ヤードを超える設定も可能だ。しかも、このコースは海岸沿いではないがリンクススタイルで、樹木がほとんどなく、風があらゆる方向から吹く。360度視界が広がる壮大なコースは、設定次第では、優勝スコアをオーバーパーにすることも可能なのだ。

■「かつての大会と異なってきた」

 かつて4大メジャーにはそれぞれ個性があった。全米オープンといえば深いラフが特徴でショットの正確性が問われた。飛ばし屋より、ボールが曲がらないショットメーカーが有利な大会だった。マスターズは「ガラス」と称される高速グリーンの攻略が最大の見どころ。全英はリンクスコースで強風との戦いを強いられる。最も個性がないといわれる全米プロですら最近は、距離の長い比較的新しいコースで開催されている。

 さらに、古い名門コースは東海岸にほぼ集中しており、「全米オープン」の名にふさわしいようにアメリカ全土で開催するには、それ以外の場所に距離の長い新設コースを加える必要があったのだろう。

 ちなみに2015年の開催コースだったチェンバーズベイGC(ワシントン州)も、07年にオープンした太平洋岸北西部に位置するパブリックコースだった。

 この全米ゴルフ協会(USGA)の会場設定について、全米オープン4勝の帝王ことJ・ニクラスは、「USGAは過去の素晴らしさから距離を置きつつある。それが良いことか、悪いことかはわからないが、かつての大会とは異なってきたことは間違いない」と苦言を呈している。

 だが、USGAがエリンヒルズを会場に選んだ最大の理由は、何といってもパブリックコースであることが大きい。

(ゴルフライター・吉川英三郎)