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全米オープンゴルフ 「パブリックコース」開催増の裏事情

6/15(木) 18:01配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 全米ゴルフ協会(USGA)の最大の収入源は、テレビ放映権料だ。USGAはフォックス社と12年契約で11億ドル、年間9300万ドル、日本円にすれば年間100億円を超える放映権契約を結んでいる。これには女子オープンや全米アマなど、USGAが主催する13試合の放映権が含まれているのだが、やはり目玉は全米オープンだ。視聴者がゴルフに興味を持っても、一部の金持ちしか入会できない名門コースばかりが舞台では視聴率が稼げない。

 かつてアメリカではプライベート・メンバーシップコースとパブリックコースとの割合が半々といわれていた。昨今では、メンバーコースの割合が全体の3分の1から4分の1近くまで減った。

 USGAを支えているのは基本的にはメンバーコースだ。理事も役員も名門クラブから選ばれることが多いものの、メンバーコースが減少し、ゴルフ人口も激減している昨今、パブリックコースを利用するゴルファーに目を向けない限り、USGAが唱える「ゴルフの普及」も、ただのお題目で終わってしまう。

 08年トーリーパインズGC、09年ベスページ、15年チェンバーズ・ベイ、そして今年がエリンヒルズと、近年はパブリックコースが会場に選ばれている裏には、このような理由があるのだ。

■テレビ視聴率は西に行くほど高くなる

 テレビに関して言えば、こんな事情もある。古い名門コースは東海岸に集中しているが、アメリカでのテレビ視聴率は、試合会場が西へ行くほど高くなる傾向がある。西海岸のコースで午後に優勝争いが行われていれば、東海岸ではプライムタイム(月~土曜20時から23時、日曜19時から23時)にゴルフ中継が行われるからだ。この点からも、新しい開催コースを北米大陸の中部から西の地域に加える必要があるのだろう。

 とはいえ、エリンヒルズは誰もがプレーできるパブリックコースではあるものの、超高級リゾートでプレー料金は高い。冬場のシーズンオフには280ドル(約3万円)という格安の「宿泊・ゴルフパック」もあるようだが、通常はキャディーフィやチップを入れるとラウンドだけで400ドル(約4万4000円)もする。しかも、宿泊しないとなかなか予約が取れず、実際には8万~9万円もかかることになる。

 さて、優勝者予想のパワーランク1位は、メジャー未勝利のリッキー・ファウラー(世界ランク9位)。以下はダスティン・ジョンソン(同1位)、ジェイソン・デイ(同3位)、ジョン・ラーム(同10位)と続く。パワーランク11位の松山英樹(同4位)は初日、ファウラー、ラームと同組(現地15日7時51分=日本時間15日21時51分)。

「優勝を目指したいが4日間ある。一日一日が大事。初日から出遅れないようにしっかりプレーしたい」と語った。

「ラフが異常に長い」と選手の評判はあまりよくない今年のエリンヒルズ。強風のパブリックコースでどんなドラマが生まれるか。

(ゴルフライター・吉川英三郎)