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【ボクシング】 世界王者・久保隼はストイックの申し子

6/15(木) 16:30配信

東スポWeb

 ボクシングの日本人世界王者が10人を数えるなか、4月9日にWBA世界スーパーバンタム級王座を奪取して注目を集めているのが、京都出身者で初めての世界王者となった久保隼(27=真正)だ。高校、大学時代は村田諒太(31=帝拳)、ジムでは元3階級制覇王者の長谷川穂積氏(36)という偉大な先輩の背中を追ってきた実力派。恵まれた環境のもとで鍛練し、戴冠を「必然」と言い切った男の素顔とは――。

 4月に王者となった試合は、相手のネオマール・セルメニョ(37=ベネズエラ)が10回までの採点で勝っていたにもかかわらず、11回開始直後に棄権。意外な結末のTKO勝利だった。

 久保(番狂わせとも評されたが)自分では、あの勝利は必然だった。そう言えるだけの準備はしてきました。

 ジムにはWBCでバンタム、フェザーとスーパーバンタム級を制した長谷川氏という偉大な先輩が身近にいる。大学を出て、その練習を初めて見た時には衝撃を受けたという。

 久保 プロの練習って、アマチュアに比べると時間が短いんです。でも長谷川さんの練習を見たら「質が違いすぎる。これぐらいやらなアカン」と思うようになりました。

 さらに南京都高(現京都広学館高)、東洋大を通じての先輩となる村田の練習に対する姿勢もお手本だ。


 久保 高校では7時半から朝練をやるんですけど、村田先輩は30分早く来て、3キロを全力で走ってから練習していた。それぐらいしないとダメなんだ、ということを教わりました。

 この2人を見て練習の質は上がり、自分に妥協もしなくなった。

 久保 よくロードワークを「10キロ走らなアカン」と言う選手がいるけど、それじゃダメ。それぐらい当たり前、と思うようにならないと。4月の試合前には初めて一度に20キロ走ったりもしました。

 生活のすべてはボクシング中心だ。世界王者となった今もジムの寮で暮らしている。

 久保 一応、個室です。といっても仕切りはふすま1枚ですけど。広さは6畳ぐらいですかね。ボクシング以外のことに興味がないんで、テレビも置いてません。見ないですから。部屋にテレビがない生活は、大学1年からずっとです。

 たまにはハメを外してストレス発散、という概念もない。

 久保 息抜きが必要というけど、価値観は人それぞれじゃないですか。遊びに行くと夜が遅くなってしまう。僕はできれば9時には布団に入って10時か、遅くても11時には寝たい。朝、質の高い状態で走りたいんです。

 練習とロードワーク以外で出かけることといったら、銭湯とマッサージぐらい。京都の実家まではジムのある神戸から片道1時間ほどで行けるが「往復2時間がもったいない」ため、めったに帰らない。

 昨年12月には念願だったホノルル・マラソンに挑戦。ハワイには約1週間滞在した。11月に試合が終わったばかりで、当時は4月の世界戦も決まっていなかったので、本来ならノンビリしたり羽を伸ばしたいところだったが…。

 久保 ジムの後輩と行ったんですけど、太りたくないと思って空いた時間は走ってました。せっかくハワイまで行ってもったいない、と皆さんに言われましたね。

 今どき、ここまでストイックなボクサーも珍しいが、久保にとっては特別なことではなく、これが「スタンダード」。秋ごろに控えるV1戦に向けて、脇目も振らず今日もボクシングだけに向き合う。

最終更新:6/15(木) 18:43
東スポWeb