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<共謀罪法成立>徹夜攻防、最後は数 議場に歓声と怒号交錯

6/15(木) 12:00配信

毎日新聞

 「共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を新設する改正組織犯罪処罰法は、日付をまたぐ与野党の攻防の末、15日朝、参院本会議で可決・成立した。「良識の府」で法務委員会の採決を省略する「数の力」に頼った強引な手法で早期成立を図った与党に対し、野党は「歴史に禍根を残す」と怒りをあらわにした。国会の外で、夜通し抗議の声を上げ続けた市民たちは「法の廃止を訴えていく」と決意した。

 「白色票(賛成)165、青色票(反対)70……」。午前7時45分ごろ、伊達忠一議長が投票結果を読み上げ始めると、参院本会議場には拍手と歓声、そして怒号が交錯した。

 午前7時過ぎから記名投票で行われた本会議での採決では、社民党と自由党の議員らが、投票箱まで時間をかけてゆっくり歩く「牛歩戦術」に出た。他の議員の投票が終わっても社民党の又市征治幹事長らが壇上の前からなかなか進まないことにしびれを切らした伊達議長が「制限時間2分」と宣言。議員らが「採決を絶対許さない!」「恥を知れ!」などと壇上で叫びながら投票をしている間に時間は過ぎ、議長は投票を打ち切った。

 又市氏と福島瑞穂社民党副党首、自由党の森裕子氏は、慌てて投票箱に青色票を入れたが認められず。「委員会からやり直せ」など怒声が飛び、又市氏は繰り返し議長の机をたたきながら「こんなバカな中間報告をやって、恥ずかしくないのか」と詰め寄った。

 採決前の討論では、民進党の蓮舫代表が「まるで下請けのように、官邸に言われるがまま議会運営を進める与党は、強く恥じるべきだ」と厳しく批判した。これに対し、自民党の西田昌司氏はテロ対策の重要性を改めて強調し、「野党は国民の不安をあおっている」と非難したが、委員会の審議を強引に打ち切る中間報告に至った経緯には一切言及しなかった。

 法が可決・成立すると、与党議員たちは足早に本会議場を後にした。福島氏は「すんなり通したらいけないと(牛歩戦術を)決めた。共謀罪の中身も問題だが、やり方も凶暴。最後の最後に投票権を切り捨てるなんておかしい」と語気を強めた。蓮舫氏は学校法人「加計学園」(岡山市)の問題に触れ「もうこれ以上国会を開きたくない、加計問題に一切触れてもらいたくないという、まさに首相ありきの、そんたくありきの国会運営だ」と断じた。

 一方、自民党の松山政司参院国対委員長は「極めて丁寧に審議を進めてきた。国民にとって不可欠の法案を会期内に成立させるため、この選択は適当だった」と正当性を強調した。【遠藤拓、島田信幸、巽賢司、小田中大】

最終更新:6/15(木) 23:53
毎日新聞