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【信州ワイド】栂池ビジターセンター、7月リニューアルオープン

6/15(木) 7:55配信

産経新聞

 ■設備一新 登山者の癒やし空間に

 栂池自然園(小谷村)の入り口に建つ栂池ビジターセンターが7月にリニューアルオープンする。殺風景なこれまでの室内設備を一新し、色鮮やかな栂池の四季を背景に写真が撮れる「フォトスポット」など、来訪者を楽しませる趣向を凝らした。山の季節はこれからが本番。登山者の疲れを癒やしてくれる空間であるし、多様な動植物が息づく栂池の魅力を思う存分、堪能できるスポットでもある。(松本浩史)

 ◆「非日常感」演出

 北西には乗鞍岳の頂を仰ぎ、西方には白馬岳などが属する白馬三山を望む。3千メートル級の山々はどこも雪をいただいている。半袖でも過ごしやすい麓とは打って変わり、まだ肌寒い。

 センターは、自然園が6月1日に開園したのにあわせ、プレオープンした。山から下りてきた登山者が暖炉の側で体調を整えたり、ロープウエーなどで上がってきた家族連れが、室内の展示物を見て回ったりしている。

 センターを管理するようになった幾田美彦さんによれば、かつての室内は真っ暗で暖房もなかった。腰掛けて休む椅子もわずかで、栂池の自然を撮った壁掛けのパネルも青焼けしていたそうだ。

 ある日、センターに来た観光客が添乗員に「なんでこんな所に連れてきたんだ」と文句を言っている場面に出くわした。その声は今でも耳に残っている。

 幾田さんは改修に当たり、「非日常感を演出する」ことを大切にしたという。平成26年に今の立場に就くと、温めていた構想を1つずつ実現させることにした。

 ◆四季を満喫

 センターの最大の売りは「フォトスポット」だ。周りは、四季折々の、ここでしか目にできない景色がある。白馬三山などの雄大な雪景、ミズバショウやシラネアオイ、ニッコウキスゲなどの植物群落、ナナカマドやダケカンバなどが赤や黄に山々を色づかせる紅葉…。このうち気に入った景色をバックに記念写真はいかが、という趣向だ。

 幾田さんは、声には出さないまでも、そんな誘い文句を来訪者に語りかける。今はまだ8枚しか用意されていないが、ゆくゆくは12枚備えて、カレンダーをつくれるようになればと思っている。

 「ネイチャーキューブ」のコーナーでは、動植物の様子はもとより、満天の星、紅黄色に空を染める朝焼けなど、大画面で自然園の移り変わりが楽しめる。園内に設置したカメラで撮った幾つもの映像を早回しで流しているので、「お得感」も味わえそうだ。

 センターの一番奥にある「ワクワクウォール」では、ボルダリングができ、自然園に飽き足らない子供が楽しめるようにと、幾田さん流の「おもてなし」がうかがえる。

 「こんなにきれいになってびっくりした。いいんじゃないですかね」

 かつてのセンターに来た経験を持つ埼玉からの利用者は、「ネイチャーキューブ」に見入った後、暖炉の前でくつろぎながら、まんざらでもなさそうにこう話した。

 ◆夢は膨らむ

 幾田さんは、根っからの山好きだ。大阪府出身で、在学していた高校が、長野で行ったスキー実習に参加し、それ以降、とりこになった。大学進学後も夏季は、無給だが三食寝床付きでペンションに居候をし、冬季になるとスキーのインストラクターとして過ごした。

 小谷村では、道の駅「小谷」のトップとしても、忙しい日々を送っている。誘われて売店主任として「小谷」に勤め始め、21年からは現職だ。センターと「二足のわらじ」を履くのは、「山のとりこ」になったゆえんだろう。

 人が集うセンターにすべく、まだまだやりたいことがたくさんある。

 「センターまで足を運んでくれた人たちが『また来たい』と思ってくれる施設にしたい。『居心地のいい飲食店』が理想です」

 センターのグランドオープンは7月18日。夢は膨らみ続けている。

最終更新:6/15(木) 7:55
産経新聞