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<英高層住宅火災>迫る炎 窓から子を地上に投げ出す母も

6/15(木) 12:14配信

毎日新聞

 【ロンドン矢野純一】ロンドン西部の高層住宅(24階建て、120室)の火災現場近くの避難所には、命からがら逃げ出した住人や、連絡が取れない友人や家族を捜す人が詰めかけた。炎が迫る中、窓から我が子を地上で待ち受ける人に投げ出す母親の様子を証言する人もいた。

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 「玄関には黒煙が充満していて逃げられない。床は触れないほど熱くなっている」。高層23階に住む友人と携帯電話で交わした最後の会話について、現場近くに住むケインさん(25)が語った。この会話は火災発生から3時間後の14日午前4時過ぎのことだったという。

 ケインさんは火災発生後に何度も、携帯電話で連絡し、逃げるように促した。だが友人は「『消防に電話をしたら部屋にとどまるように言われた』と話し、避難しようとしなかった」と肩を落とした。

 近くの住人のイゼルディンさん(50)によると、長女が、中層階から3人の子供を次々と窓から投げ下ろす母親を目撃したという。この子供たちの安否は分からないが、イゼルディンさんは「こんなことが起きるとは信じられない」と話した。

 また、英BBCの取材に応じたサミラさんは「10階あたりの窓から母親が赤ん坊を、地上にいる人に投げ下ろしたのを目撃した」と話した。地上にいた男性が赤ん坊を抱き留めて救ったという。

 3階に住んでいたというアフガニスタン出身のサヤルさん(26)は黒煙が渦巻く中を逃げ出した。「火事だ」と叫ぶ声で目が覚め、窓から外を見ると、すぐ上の階から炎が上がっていた。隣の住民と一緒に非常階段を伝って逃げた。

 サヤルさんによると、緊急時の対応を知らせる建物内の看板には、火災の際は室内にとどまるように書かれていた。「部屋に残っていたら、間違いなく死んでいた」というサヤルさん。22階に住んでいた親類(50)の携帯電話は「呼び出し音が鳴るだけで、誰も応じない」と話し、何度もかけ直していた。

最終更新:6/15(木) 13:13
毎日新聞