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県内の死亡労災“最悪ペース” 千葉労働局、パトロール啓発強化

6/15(木) 7:55配信

産経新聞

 作業中に発生した事故による死亡労働災害が県内で急増している。今年に入り1月だけで8件8人が死亡。5月末時点で死者数は20人となり、昨年1年間の死者数36人の半分を超えるハイペースとなっている。千葉労働局は事態を重く見て、全国的な安全啓発運動の強化に加え、同局で独自に防止キャンペーンを実施。14日には千葉労働基準監督署と合同でパトロールを行い、労災事故の撲滅を目指す。

 ◆5月末時点で20人

 金属を溶接する火花が散る音や、1千トンを吊る巨大クレーンのきしむ音が響く。市原市八幡の三井造船(本社・東京)の千葉事業所の現場では約900人が従事し、「ご安全に」と安全意識を呼びかけながら大型船舶などの建造に勤しむ。

 その現場を、同局の塚本勝利局長ら7人が視察。「日本語が不得意な海外実習生へのケアは万全か」「高所での安全管理は行き届いているか」。矢継ぎ早に質問し、隅々に目を光らせた。

 「かつてない危機的状況にある」。同局によると、今年1月は樹木伐採中に倒木が直撃したり、フォークリフトの誘導中の事故など死亡事故が相次いだ。2月にも塗装作業中の爆発、延焼事故などで4人が死亡した。1、2月は47都道府県でワーストの状態となっていた。

 死亡労災が急増している要因として、同局は安全衛生意識の低下などを挙げる。県内では昭和44年に205人が労災で死亡したのをピークに安全意識の浸透を呼びかけ減少傾向が続いたが、事故の減少に伴い防災意識が薄れつつあるとみられる。

 ◆独自キャンペーン

 今年は死亡労災を年間30人以下に減少させる労災防止計画の最終年に設定され、3月以降は死亡労災の発生状況はやや減少してきているものの、現状では目標達成が困難なペースだ。

 そこで、同局は同月から来年1月15日まで、全国的な安全運動とは別に県独自のキャンペーン「なくそう死亡災害!運動ちば2017」を展開。労災が起こりやすい事業所や工場に対する監督、指導の強化。安全衛生に関する広報資料の作成や啓発活動の実施、県など他の行政機関への協力依頼や連携強化などに取り組む。

 14日は同事業所など県内2カ所の現場をパトロール。同事業所では、金属の加工場や建造中の31万トン級の大型原油タンカーの作業現場などを歩いて回り、安全管理が行き届いているかを確認した。

 同事業所では、作業員の熱中症対策として、風を体に吹き付ける作業着を装着したり、危険な作業が重ならないよう工程管理を重視するなどして安全管理を徹底。今年は同日現在で、休業を要する事故の「休業労災」は1件も起きていないという。

 同局は「事業者らへの安全意識の浸透が最大の課題。今後も周知活動を進め、労災の撲滅を実現したい」とした。

最終更新:6/15(木) 7:55
産経新聞