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PKO、25年目の転機 文民保護など任務多様化

6/15(木) 7:55配信

産経新聞

 ■“できない尽くし”時代合わない5原則

 国連平和維持活動(PKO)協力法は15日、平成4年6月の成立から25年を迎えた。5月末に自衛隊が南スーダンから撤収して、PKOへの部隊派遣はゼロとなった。新たな派遣先の選択肢は乏しく、自衛隊の行動を縛る法制はますますPKOの実情にそぐわなくなっている。国際社会への人的貢献のあり方は節目の年に転機を迎えている。(千葉倫之)

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 自衛隊のPKO活動のきっかけは「湾岸戦争ショック」だった。2年8月にクウェートに侵攻したイラクに対処する多国籍軍に日本は約130億ドルを提供したが、戦後の感謝広告から除外された。「カネは出すが人は出さない」では通じない現実がPKO立法を後押しした。

 部隊派遣は4年9月のカンボジアに始まり、25年で延べ約1万2千人が活動に従事。この間、現場の部隊を悩ませたのは「できない尽くし」の法的制約だった。近くで他国部隊や邦人が危険に遭遇しても助けに行く法的根拠がない。東ティモールでは暴徒に囲まれた邦人を助けるため「輸送」という名目をひねり出した。

 こうした救援活動は27年成立の安全保障関連法で「駆け付け警護」として認められ、武器使用権限も拡大された。しかし、正当防衛や緊急避難でない限り危害を加える射撃は行えず、なお国際標準には遠い。

 PKO自体もこの間、変質した。旧来型の停戦監視から、国造り支援や、一般市民を守る「文民保護」などに任務が多様化し、PKO部隊が武装勢力と衝突するリスクも増した。南スーダンでも25年末の政府軍と反政府勢力の衝突を機に、PKOの目的は国造り支援から文民保護に変化した。

 現在16のPKOのうち9は内戦を経て情勢不安定なアフリカ諸国に集中する。先進国は派遣を控え、リスクの高い任務は主に途上国が担うようになった。そんな中でも中国は南スーダンを含め約2600人(28年末)をPKOに派遣して存在感を高めている。政府関係者は「南スーダン派遣は中国の動向監視の意義もあった」と撤収を残念がる。

 政府内では新たな派遣先として地中海のキプロス島が候補に挙がるが、実現しても派遣は数人規模といわれる。一方、「危なくなったら撤退」のPKO5原則がある限り、アフリカへの派遣はハードルが高い。防衛省幹部は「何を目的に派遣するのか、必要な法的手当ては何なのか。いったん頭を冷やして考え直す契機だ」と話す。

最終更新:6/15(木) 7:55
産経新聞