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THAAD 韓国迷走 米、運用延期に疑心 中、“配慮”知らん顔

6/15(木) 7:55配信

産経新聞

 【ソウル=桜井紀雄】米韓両政府はトランプ、文在寅(ムン・ジェイン)両大統領の初の首脳会談を29、30日にワシントンで行うと発表した。米韓同盟の結束を固める場にしたいところだが、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の本格運用先延ばしが“トゲ”のように刺さる。米側は韓国の国内事情に理解を示しつつも、不満と疑心をくすぶらせている。

 訪韓中のシャノン米国務次官は14日、首脳会談に向け韓国の林聖男(イム・ソンナム)外務第1次官と協議後、記者団に対し、THAAD配備の推進について「米韓間で固い公約がある。両国が満足のいく方向で引き続き協議する」とクギを刺した。

 THAAD発射台4基の追加配備の報告がなかったと、文氏が激怒したことが“こじれ”の始まりだった。文氏は責任者の国防省国防政策室長を更迭し、環境影響評価(アセスメント)の徹底を指示。調査には1年以上かかるとされ、年内を目指してきたTHAADの本格運用が事実上延期となった。米メディアは8日、「計画停止」とセンセーショナルに伝えた。

 トランプ氏は同日、自身の疑惑をめぐるコミー前米連邦捜査局(FBI)長官の公聴会が行われている最中、緊急会議でTHAAD問題を協議。米側は「配備の撤回はないという韓国の公式の立場を信じる」(国防総省報道官)と表面上は理解を示す一方、不満も噴出。文氏と先月末に会談したダービン上院議員(民主党)は「韓国がTHAADを望まないなら予算を別のところに使える」と文氏に伝えたと言及し、議会公聴会でも韓国の対応が「理解できない」とぶちまけた。

 韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は「政権が交代したからと決定を軽く考えるつもりはない」と述べ、米側の理解を促す。ただ、問題は本格運用を先延ばしすることで配備に反対する中国に配慮したはずが、一向に中国側に響いていないことだ。中国紙、環球時報は「米中双方にいい顔をしても中韓関係は正常化できない」と突き放した。韓国紙によると、中国政府がTHAAD配備地の視察を韓国政府に申し入れるなど、揺さぶりもかけている。

 文氏は大統領選当時からTHAADの賛否を明言しないことが中国への「外交カード」になると強調してきた。だが、この「あいまい戦略」は、韓国が米中双方から見放される危険性も同時にはらんでいる。

最終更新:6/15(木) 8:06
産経新聞