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留学生、米国離れ兆し トランプ政策影響 大学困惑、政権に恨み節

6/15(木) 7:55配信

産経新聞

 【ワシントン=小雲規生】トランプ大統領の政策が米国の排外的なイメージを強めるなか、米国の大学で留学生の減少が懸念されている。各大学には留学検討中の学生から米国生活への不安が寄せられており、大学側も困惑を隠せない。留学生が懸念するのはトランプ氏が公言する「入国禁止」措置や「米国第一主義」に象徴される内向きな姿勢に支持が集まる米国の風潮だ。留学先として学費が安い隣国カナダの大学が人気を集める現象も出ており、米国離れが進む可能性もある。

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 「大統領選での論戦と新政権の大統領令が米国の大学の留学生獲得を混乱させているのは明らかだ」

 米国の5つの大学関連団体が4月に発表した、2017年秋入学の留学状況に関する報告書はトランプ政権への恨み節で締めくくられた。

 ◆38%で出願者減

 報告書によると、約300大学の留学生受け入れ担当者に出願状況などを調査したところ、約38%が出願が減ったと回答。なかでも中東諸国や中国、インドからの出願者が減ったとする大学が多かった。米国への留学数は10年近く増加が続いてきただけに、報告書は「減速や減少の兆候の可能性がある」としている。

 トランプ氏は選挙戦で「イスラム教徒の入国禁止」を口にし、就任後は中東・アフリカ6カ国からの入国を一時禁止する大統領令を出した。メキシコ国境に壁を築き、不法移民取り締まりを強化するなどの政策も、各国から排外的だとの批判を浴びている。

 このため米国の大学への出願を検討している学生からは「査証(ビザ)が取り消されることはないか」「米国内での移動が制限されるのではないか」といった不安が噴出。「留学生が差別されるのでは」といった声も出ているという。

 報告書によると「留学の出願が増えた」との回答が35%あったが、米国の内向きなムードは出願しても実際には入学しない学生の割合を高める可能性があり、優秀な学生を集めたい大学にとっては悩みの種だ。

 ◆カナダは増期待

 これに対し、カナダの大学は留学生増への期待を膨らませている。米紙ニューヨーク・タイムズは5月、カナダの各大学への留学希望者が増えていると指摘。東部モントリオールのコンコルディア大学のアラン・シェパード学長は同紙に「いわゆるトランプ効果は現実のものだ」と話した。

 カナダが注目を集める理由には「米国のおこぼれ」だけではなく、学費や医療保険の安さなどもある。このため米国人の高校生があえてカナダに留学するケースも目立つという。

 米国には英語圏のオーストラリア、英国などのライバルもいる。米国の大学関係者の間では、将来的には資金力がある中国やアラブ首長国連邦(UAE)の大学が人材獲得を進めるとの見方も出ている。

最終更新:6/15(木) 7:55
産経新聞