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もがく萩野、復活なるか…右肘手術影響でスランプ 7月世界水泳「五輪へ正念場」

6/15(木) 14:49配信

産経新聞

 水泳の世界選手権(7月14日開幕、ブダペスト)が迫る中、リオデジャネイロ五輪男子400メートル個人メドレー金メダリストの萩野公介(ブリヂストン)が、かつてないほどのスランプに陥っている。今月10、11日の和歌山県選手権で納得いくタイムが出ず、表情は終始曇りがち。リレーでも主力を担う日本のエースだけに「すごい正念場だと思う」と、悲痛な覚悟で復調の兆しを探している。(大宮健司)

 ◆「難しい」連発

 「フリー(自由形)でここまで調子が悪くなるのは経験がない。『こんなにフリーって難しかったっけ?』というイメージ」。和歌山県選手権で自由形3種目に出場後、報道陣に囲まれた萩野はあきれたように苦笑いし、自身の泳ぎを振り返った。

 800メートルリレーの世界水泳代表選考を兼ねた200メートル自由形は、江原騎士(ないと)(自衛隊)、松元克央(かつひろ)(セントラルスポーツ)に離されての3位。400、100メートルも低調な記録に終わった。

 4月の日本選手権は4冠ながら200、400メートル自由形は派遣標準記録を破れず、400メートル個人メドレーはライバル瀬戸大也(ANA)に惜敗。5月のジャパン・オープン200メートル自由形も江原に敗れた。不調について聞かれた萩野は、言葉を探すように「難しい。何が正解か探しながらやっている」と繰り返した。

 ◆無意識の変化

 スランプの要因はリオ五輪後の右肘手術のようだ。2015年夏に自転車事故で骨折。リオまで手術なしで戦い、昨年9月にメスを入れた。萩野は「(肘の)可動域は広がった」と話す一方で「うまく水を(腕で)かけていない。肘をかばって泳いでいる部分もある」と自覚する。

 コーチの平井伯昌(のりまさ)・日本代表監督も心配している。気になるのはスタート台に上がる前のルーティン。最近は両肩を回すが、平井氏は「あんなこと五輪のときはやっていない」と指摘。それを聞いた萩野は「何かを変えたつもりはない」と、無意識のしぐさのようだ。

 平井氏は「(練習の滑らかな泳ぎが)試合になるとロボットみたい(に硬くなる)」とも。控室でピリピリした様子をみせるようになったといい、「体のパーツに意識が行き過ぎている。スタート台に上がったときに細かいことを気にしていたら戦闘準備はできていない」と、手術による心理面への影響を懸念する。

 ◆コーチも祈る

 世界水泳に向け、萩野は平井氏らとともに13日に日本を出発し、スペイン・シエラネバダで高地合宿に入った。日本では「良かれと思ってやっていることが良くない」と悩み、私生活もマイナス思考となる悪循環に陥っていた。水泳に集中できる環境で「気持ちと身体、技術がうまくかみ合ってくれることを祈って練習していく」と、平井氏も“一変”に期待する。

 今回の世界水泳に臨む競泳ニッポンは総勢25人の少数精鋭。リオ五輪を最後に引退した選手も多いが、3年後の東京五輪に向けて強化の歩みは止められない。萩野は和歌山で「この1年が東京五輪に向けて大事な正念場」と語った。世界水泳では、エースの意地で輝きを取り戻せるか。

最終更新:6/15(木) 15:24
産経新聞

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