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一体何ができるの? スマートプロジェクター「Xperia Touch」を使ってみた

6/15(木) 22:27配信

ITmedia Mobile

 6月下旬に、ソニーモバイルコミュニケーションズからXperiaブランドのスマートプロジェクター「Xperia Touch」が発売されます。ソニーストアでの販売価格は14万9980円(税別)で、今注文すると6月24日頃に届くそうです。

【デレステもプレイOK】

 OSは「Android 7.0」、プロセッサはQualcommの「Snapdragon 650」を搭載し、「近づくと画面が点灯」「プロジェクターの映像を指でタッチして操作できる」といった“未来的”な操作に対応したXperia Touchは、ガジェット好きなら確実に気になる製品です。

 壁面に投影された映像を触って操作できるデバイスといえば、従来はインタラクティブアートの芸術イベントぐらいでしか触れる機会がありませんでした。そういった機器を、自宅用に税込みで16万円ほどで購入できるということに、時代の進化を感じずにはいられません。

 しかし、そんな未来的なデバイスだからこそ、“実際に何ができるのか?”が気になります。さっそく、実機を使いつつ見ていきましょう。

●プロジェクター表示でAndroidが楽しくなる?

 Xperia Touchには、机や壁に約23型の映像を投影してマルチタッチ操作できる「スマートスクリーン」と、壁から25cmの距離で最大80型の画面を投影できる「超短焦点プロジェクター」の2つの動作モードがあります。まず、Xperia Touchならではのスマートスクリーンモードから見ていきましょう。

 電源を入れると、ごく一般的なAndroid端末のような画面が表示されます。さしずめ「超大画面タブレット」といった風情です。

 マルチタッチ操作は遅延がなく、スペック的には現行のミドルハイクラスのスマホと同等なので、スマホ感覚でサクサク動きます。「Antutu Benchmark v6.2.7」でベンチマークテストを取ってみたところ、総合スコアは「67641」でした。

 ちなみに、スマートスクリーンモードは「画面を机に投影する」か「本体を壁に密着させる」と有効にできます。

 操作をしてみて気になる点は、ピンチインやピンチアウトの操作をする2本の指以外を開いたままだと誤反応しやすいことと、タップの勢いが良すぎると机に指が当たって痛いことぐらいです。あと、強いて言えば、壁に投影しているときはBluetoothキーボードで文字入力した方が良いかもしれません。

 では、どのようなアプリを使うと楽しいのでしょうか? 大画面タッチスクリーンの操作デモでは、エアホッケーゲームやピアノを始めとする楽器アプリがよく使われますが、他の可能性も見いだしたいところです。

 まずはベンチマークを兼ねて、3Dグラフィックをバリバリ使う音楽ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(バンダイナムコエンターテインメント)を動かしてみました。高画質な3D標準設定で動かしましたが、操作の遅延はほとんどありません。大画面に加えて、本体スピーカーの音量にも余裕があるので、難易度が低めの曲なら快適に楽しめます。ただし、高速タップやフリックが必要な高難度のMaster楽曲になると、タップごとに指と投影面をしっかり離さないと誤反応を起こしやすいので、本気で遊ぶにはちょっと難しいという印象です。

 相性が良いと感じたのはDJアプリです。大画面で操作できるのはもちろん、本体スピーカーの音量は6畳ぐらいの広さの部屋なら十分聴けるレベルなので、「DJごっこ」を快適に楽しめました。もちろん、単に「YouTube」や音楽配信アプリで映像や曲を楽しむのにも適しています。

 後は、ボードゲームやカードゲームを複数人でじっくり遊ぶことにも向いています。地味ですが、将棋なんかは画面が大きいとリアル感があり、実際に二人での対局も遊びやすかったです。

●近接センサーや音声操作は?

 Xperia Touchには、約2m以内に人が入ると画面が点灯する「近接センサー」が搭載されています。これは壁への投影時のみ作動するようになっていますが、家の玄関や部屋の扉の近くに置いて使う場合に便利です。

 音声操作は、天気の確認、音楽再生、アラーム設定、アプリの起動などに対応しています。「Hi Xperia」と呼びかけて、実行したい内容を話すと音声で返答したり、簡単な情報を表示してくれます。

 使ってみて、あまり大画面を生かした情報を提供してくれないことが気になりました。テスト時期の都合上、日本語対応が先日発表されたGoogle Asssitant」はテストできませんでした。もし動くのであれば、Google Assistantの方が便利に使える可能性もあります。

●大画面プロジェクターとしての使い勝手は?

 次に、Xperia Touchの超短焦点プロジェクターとしての使い勝手を見ていきます。

 特徴は、スクリーンから25cm離しただけで80型相当の大画面投影が可能なこと。仕様としては、ソニーが販売している単機能の超短焦点プロジェクター「LSPX-P1」とほぼ同じです。

 その画質はどうでしょう。まず、解像度は1366×768ピクセルと最近のプロジェクターとしてはやや低めです。しかし、発色自体は良好です。

 画面の視認性はどうでしょうか。スマートスクリーンモード(23型相当)では「やや暗い部屋」でも問題なく見られるのですが、80型相当の表示となると部屋を完全に消灯しないと視認できない状況です。プロジェクターとしてのスペックは「最大100ルーメン」と暗い部類なので仕方のないのですが……。

 プロジェクターの投射方式は映像のRGBカラーを時分割で投影する「DLP型」に近い「SXRD・3原色液晶シャッター投写方式」です。時分割投影する都合上、まれに色が分離して見える「カラーブレイキング」が発生することも少し気になりました。

 プロジェクターとしての外部入力は「Miracast」「HDMI」の2系統となります。また、別途アプリをインストールすると「プレイステーション4(PS4)」のリモートプレイにも対応します。

 手持ちのAndroidスマホやPCの画面をMiracastで投影するには、設定からMiracastの受信を有効にします。

 一部のAndroidスマホについては、Miracast接続中にXperia Touchからリモート操作することもできます。Androidスマホで使っている個人的なアプリを、Xperia Touch側で表示・操作したいときに便利です。ただし、Xperia Touchのタッチコントロールを使う都合上、スマートスクリーンモードと同様に画面を机に投影するか、本体を壁に密着させて使う必要があります。

 一方、HDMI入力は「Micro HDMI(HDMI D)端子」となっています。一般的なHDMI端子(HDMI A端子)を持つ機器と接続する場合、端子回りの空間に余裕がないため、変換コネクターを使うことはお勧めできません。面倒でも、片方がMicro HDMI端子となっている「変換ケーブル」を用意しましょう。

 HDMI入力に切り替えるには、本体前面のINPUTボタンを長押しします。筆者が試した限りでは、HDMI CEC(HDMI機器との連動機能)には対応していないようです。

 PS4のリモートプレイでは、Bluetoothコントローラー「DUALSHOCK 4」を接続したプレイにも対応しています。RPGは快適に遊べました。

 なお、Androidアプリの多くはDUALSHOCK 4で操作できません。あくまでもDUALSHOCK 4対応はリモートプレイ用と割り切った方が良さそうです。Xperia Touchをワイヤレス操作したいなら、別途Bluetoothキーボード・マウスを用意することをお勧めします。

●電源端子は「USB Type-C」

 本体底面のUSB Type-C端子は、Xperia Touchへの電源供給とPCとの接続(データ転送)に対応しています。

 電源は15V入力で、USB Power Deliveryに近い仕様となっています。画面点灯時はおおむね20W前後の電力を消費しています。そのため、モバイルバッテリーやサードパーティー製のACアダプターやモバイルバッテリーで動かすのは事実上無理であると考えたほうが良さそうです。

 なお、Xperia Touchには1200mAhのバッテリーが内蔵されていて、満充電の状態から約1時間の投影が可能でした。ただし、モバイル利用というよりは「電源を切らずに部屋を移動するためのもの」と考えた方が良さそうです。

 背面には「Xperia」のロゴがあり、その左上にmicroSDスロットが用意されています。スロットはトレイ式で「Xperia XZ」と似た形状ですが、SIMカードは入ります。microSDの容量は、最大で256GB(microSDXC規格)です。

 この他、Xperia Touchには1320万画素の「Exmor RS for mobile」カメラ、マイク、NFC、Bluetooth 4.2、照度センサー、GPS、ジャイロ・地磁気・加速度センサーや気圧・気温・湿度センサーが搭載されています。ハイエンドスマホ並みのセンサーや拡張機能を備えているのは、開発者がアプリを自由な発想で作るための「手助け」なのかもしれません。

 カメラは、通常の撮影だけではなく、「Skype」のようなコミュニケーションアプリでも使えます。高感度センサーを使っているだけあり、薄暗い場所でも画質は良好でした。ただし、壁に画面を投影すると、カメラが「画面の下」というアングル的に微妙な位置になってしまいます。コミュニケーションアプリでカメラを使う際は、本体から少し離れた方が自然なアングルで映るのでオススメです。

●未来を想像させるXperia Touch 課題は「設置場所」と「アプリ」

 Xperia Touchをテストする際、一番困ったのは設置場所です。

 机に投影する場合は、本体と画面込みで50(縦)×50(横)cmのスペースが必要です。画面をきれいに映すには、天板の色は「白色」が望ましいです。

 自宅のリビングやダイニングキッチン、あるいはオフィスの会議室にある机の天板が「黒色」あるいは「茶色」だと、画面がうまく映らないので、白色のスクリーンを別途用意する必要があります。

 スクリーンを別に用意して投影する場合、「映像を斜めに投影する」という超短焦点プロジェクターの構造上の問題から、表面が少しでもたわむと画面がかなりゆがむという問題が生じます。白色以外の机で利用するなら、A2(594×420mm)または600x450mmサイズのホワイトボード(あるいは白色のアクリルボード)を使うことをお勧めします。

 壁に投影する場合にも課題があります。日本の住宅には、「平らな白色」の壁が意外と少ないのです。白い壁があったとしても、凹凸があって投影に不向き、ということも多いです。「ならば壁に白い紙を貼ればいいのでは?」と思いがちですが、プロジェクターの構造上の問題から紙が少しでもたわむと映像が大きくゆがんでしまいます。壁に映す場合も、ホワイトボードや白いアクリル板を貼るなど対策が必要となる可能性があります。

 机にせよ壁にせよ、投影するには「平らで白いある程度広い場所」を確保する必要があります。そこが若干使いづらいと感じました。

 また、Xperia Touchというハード自体に未来感を感じる半面、AIアシスタントの機能に物足りなさを感じてしまいました。こちらから話しかけなくても自動的にオススメの情報を取得して壁に投影したり、本機に近付いた時に利用パターンから必要な情報を話しかけたり投影したりする機能があってもいいかなと思います。将来的には、シャープの「エモパー」のような話しかけるAIエージェントを搭載してほしいとも思います。

 Xperia Touchは「多くの可能性を持った箱」という印象です。今後、プロジェクターモードのジェスチャー操作が実装されたり、AndroidのAIアプリが充実すれば、スマホ、タブレット、大画面テレビや音声入力対応のAIエージェントデバイスとは異なる魅力を持つデバイスに化ける可能性を秘めています。

 今、自宅に「未来」を購入したいのであれば、現時点で一番魅力的なハードウェアといえるでしょう。

最終更新:6/15(木) 22:27
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