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<米共和党幹部銃撃>容疑者、動機は政治的不満か

6/15(木) 21:00配信

毎日新聞

 米ワシントン近郊のバージニア州アレクサンドリア市の野球場で14日朝に発生した銃撃事件で、共和党のスティーブ・スカリス下院議員(51)=ルイジアナ州選出=は尻を撃たれ重傷を負った。警察官との銃撃戦で射殺されたジェームズ・ホジキンソン容疑者(66)はトランプ政権を批判する言動をしており、政治的不満を募らせ計画的に犯行に及んだ可能性があるとみて、連邦捜査局(FBI)が背景を調べている。

 ◇地元イリノイの地方紙に共和党を批判する投書を頻繁に

 【ベルビル(米中西部イリノイ州)長野宏美】ホジキンソン容疑者は以前から地元イリノイの地方紙に共和党を批判する投書を頻繁に送り、政治に熱心だった。地元紙ベルビル・ニュース・デモクラットはウェブサイトに容疑者が2008~12年に送ってきた投書を掲載し、「共和党や税制を批判していた」と伝えた。

 また、昨年の大統領選で民主党の候補指名で敗れたサンダース上院議員(無所属)の熱心な支持者で、自身のフェイスブックに「トランプは民主主義を壊した」と不満を書き込んでいた。

 近所に住むビル・シャームレフルさん(77)によると、ホジキンソン容疑者は3月24日、自宅近くの森林でライフルの射撃訓練をしており、シャームレフルさんが通報した。銃声を約50発聞き、やめるよう伝えたがやめなかった。警察はホジキンソン容疑者が銃の許可証を持ち、射撃訓練をしていただけだとして逮捕していない。警察はAP通信に「精神障害や他人を傷つける兆候はなかった」と明かした。

 ホジキンソン容疑者は昨年免許が失効するまで住宅診断の会社を経営していた。仕事の知人はニューヨーク・タイムズ紙に「過激ではなく、不安定なところのない普通の人だった」と驚き、別の友人も「彼は悪魔ではない。政治にうんざりしていたんだと思う」と明かした。

 ◇「共生する米国の象徴のような街で、起こるなんて…」

 【アレクサンドリア(米南部バージニア州)高本耕太】現場となった米南部バージニア州アレクサンドリア市のデルレイ地区は古くからの住宅街で、近年は再開発の進む地域。首都ワシントン特別区からポトマック川の対岸に位置し、ワシントンやペンタゴン(国防総省)で働く政府・軍関係者も多く住む。

 現場から約70メートルの住宅に住む公務員のスコットさん(35)は午前7時すぎ、玄関先で銃撃音を聞き警察に通報した。「最初は建設工事かと思ったが、すぐに銃撃戦だと分かった」と語った。野球場から走って逃げる人たちは「戦場のようだ」と叫び、住民らが「早く逃げろ、伏せろ」と声をかけていたという。「さまざまな思想を持つ人が共生する米国の象徴のような街で、このような事件が起こるなんて」と顔を曇らせた。

 銃撃現場の北東約8キロに位置するワシントンでは政府機関で厳戒態勢が敷かれた。トランプ大統領は労働省訪問の日程を取りやめ、観光地となっているホワイトハウス前の道路と公園は数時間にわたり封鎖された。議会警察は、連邦議会議事堂の内外で警察官配置を増やし警備を強化するとの声明を出した。

 また、下院は事件を受けて議員対象の緊急説明会を開催した。ワシントン・ポスト紙(電子版)によると「政治資金を個人的な身辺警護に流用できるか」との質問が複数の与野党議員から出されたという。14日の事件では、スカリス氏には党幹部に割り当てられる警護警察官が現場にいたため、被害が最小限にとどめられたと指摘されている。

 トランプ政権発足後、共和党議員は地元の支持者集会で医療保険制度改革(オバマケア)代替案などの不満を持つ有権者から激しく突き上げられるケースが続いており、一部議員から身辺警護の強化を求める声が上がっている。

最終更新:6/16(金) 2:03
毎日新聞

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