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スペイン最大のプレス部品メーカー「ゲスタンプ」、日本初開設のR&Dセンターでオープニングセレモニー開催

6/15(木) 17:45配信

Impress Watch

 現在のクルマのボディには、強固な作りの実現と軽量化のためにホットスタンプ材(超高張力鋼板)と呼ばれる鋼板が多く使われている。そのホットスタンプ材の製造をはじめ、自動車部品の設計、開発および製造を専門とするスペイン最大のプレス部品メーカーの「ゲスタンプ」が6月14日、東京 八重洲にR&Dセンターを開設した。

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 東京駅前のオフィスビル内に入るこのR&Dセンターには、仮想衝突試験、ホットスタンプ行程の先進シミュレーションも行なえるシミュレーション設備が設置されている。日本でのゲスタンプの人員配置はR&Dセンターのスタッフだけでなく、取引先の施設に常駐するエンジニアチームも含めた構成となる。

 ゲスタンプは本田技研工業の「シビック」をはじめとして、世界中で生産されているクルマに関する共同開発に加わった歴史を持ち、さらに2009年からはボディとシャシーの包括的な共同開発も行なってきた。そしてこのR&Dセンターの開設により、日系自動車メーカーとの包括的なボディとシャシー開発についてさらに発展させることができると解説している。

 R&Dセンター開設にあたり、ゲスタンプは関係者、取引先、そしてメディアを招いてオープニングセレモニーを行なった。セレモニー開始時間になると、まずはゲスタンプ・オートテック・ジャパン 執行役員 営業本部長のエゴ・インシアルテ氏が壇上へ上がり挨拶を行なった。

 インシアルテ氏は日本語で「今日は皆さんとR&Dセンターのオープニングセレモニーが行なえることを非常にうれしく思っています。これからこのR&Dセンターの力を使ってもっともっとよいクルマの開発をやっていきたいと思います」と語った。

 続いて登壇したのはゲスタンプの会長兼CEO フランシスコ・J・リベラス氏だ。リベラス会長からはゲスタンプについて説明があった。

 「ゲスタンプは1997年に始まった小さな会社でしたが、その後、急成長を遂げ、グローバルなメタルコンポーネント製造のリーダー企業となりました。なぜそのようなことができたのかについてですが、初期の段階から世界のリーダーになるためにはどうしたらよいかという明確なビジョンを持っていました。そのビジョンは大変シンプルです。大きな需要のお客様を持つことです。さらに事業規模を拡大することで、お客様に対して必要なテクノロジーや製品を供給できるようになることを確信していました。加えて、オペレーションの卓越性を高め、信頼性が高い製品を供給することを考えていました」。

「その結果、世界各国に101の工場を持ち、12カ所にR&Dセンターを構えています。また、拠点は21カ国にあり、社員の数は3万6000人。昨年度の売り上げは75億ユーロ以上となっています。日本においては三重県松坂市にホットスタンプの最新技術を実装した工場を建設中で、こちらは来年の夏をめどに完成させる予定となっています」と語った。

 今度はゲスタンプ BIW R&D 本部長のイグナシオ・マルティン氏が登壇。マルティン氏からは新しいR&Dセンターがどのような活動を行なっていくかについての説明が行なわれた。「ゲスタンプが製造している製品は外板パネル、構造、耐衝突安全性のコンポーネント、エンジンメンバー、サスペンションアームなどを手がけております。このなかで主力となっているのが衝突安全性のコンポーネントです。日系企業を含む世界各国の自動車メーカーにホットスタンピング、コールドスタンピング、及び成型技術などを提供。これによってより安全で軽量なクルマ作りが可能になっています」と語り、次に「特に日本においてはホットスタンピングに力を入れていますが、我々は部品を作るだけでなく、ホットスタンピングを行なうための設備の設計や製造も自分たちでやっています」と、設備すら自分たちが手がけていることをアピールした。

 R&Dセンターの役割についてマルティン氏は「ここでは完全なる衝突安全性シミュレーションを行ないます。そのデータを元にプロトタイプを作り、試験を重ねたのちに製品の型を作りあげて、それを松坂市に建設中の工場へ送ります」とのこと。そして「今後のことですが、当然のことながら前進的な技術開発を行なっていきます。例えばフルサイズの一体化ボディサイドなどに関しても着手をしていきたいと思っていますし、さらにはテーラード・ブランク溶接技術の開発にも力を入れていきます。また、日本車に使われる亜鉛メッキに関しても開発を進めます。このような技術面のことだけではなく、生産性を上げるためのマルチステップ技法などの新しいプロセスについても注目していきたいと思っています」とのことだった。

 続いてホットスタンプのラインについての簡単な解説があった。「まずは900℃以上の温度になっている炉に材料が入れられたあと、独自の技術によって形成していくわけですが、そのあと冷却をすることで、通常の6倍ほど強度を上げることが可能になります。このホットスタンプ材は衝突安全性のコンポーネントの85%に使用されるものです」と語った。

 ここからはゲストが登壇する。最初はゲスタンプの国際的戦略におけるパートナーの三井物産から、常務執行役員 鉄鋼製品本部長の勝登氏が挨拶に立った。勝氏は「三井物産は2013年にゲスタンプが行なったアメリカ、メキシコ、アルゼンチンでの事業に30%参画し、3年以上に渡って信頼関係を作り、昨年はホールディングカンパニーを作りパートナーとして入りました。先ほどリベラス会長のお話になかったのですが、ゲスタンプはたしか300億、500億円の売り上げ規模から今年は1兆円を超える規模になります。それほど大変な成長率でこの20年間やってきた会社です。それができたのはなぜかというと、新しいことに対するチャレンジを恐れない点です。私が思うこの会社の強味とは、例えば金具だとかプレスを自前で作れる能力があるので、新しいアイデアや技術を自分たちの手で作りあげていけるというところです。それができるから、技術的な面で常に成長してきたと思います」とゲスタンプの印象を語った。

 次は日本貿易振興機構(JETRO)理事の前田茂樹氏が登壇した。「ジェトロと言いますと、日本企業の海外ビジネスの支援を行なう機関だというふうにイメージされてると思いますが、もう1つ重要な役目として対日直接投資、平たく言えば外国企業を日本に誘致するということも行なっています。日本政府もこれについて大変力を入れていて、その中核の仕事をジェトロが担っています。こうした政府の方針のもと、ジェトロはこの15年間に日本の投資に関心を持つ1万6000社以上に支援しました。そのうち1600社が日本に拠点を設けることに成功しています」と解説。そして「私どもが外国企業に対して日本市場の魅力を話す際、まずは市場の規模を申し上げるのですが、もう1つ、先進の技術とか新しい製品の開発拠点になるという、ここが日本のポテンシャルであり、国際競争力の強いところであり、まさに日本市場の魅力であることを強調しています。今回のゲスタンプさんのR&Dセンター開設は我々の思いを実現していただくということで、大変うれしく思っています。R&Dセンターの開設により、ゲスタンプさんの日本のビジネスがますます発展するだけでなく、日本の自動車作りにイノベーションがもたらされることと確信しています」と語った。

 最後に登壇したのはゲスタンプの母国であるスペインから、駐日スペイン大使館 駐日スペイン大使のゴンサロ・デ・ベニト氏だ。デ・ベニト氏は「ゲスタンプはスペインでは最大手企業の1つであり、世界21カ国で100を超える生産拠点を持っています。一方、三井物産は世界中で幅広く活躍されている日本の大手総合商社です。数年前からこの両者の間で非常に強い協力関係が築き上げられてきたことは、駐日スペイン大使としても大変喜ばしいことでした。今回開設したR&Dセンターはゲスタンプが三重県松坂市において進めている事業投資の一環であり、2018年に本格的に稼働するとリベラス会長から聞いております。私は先日、工場を建設している現地へ行き、松坂市長、三重県知事を訪問させていただき、ゲスタンプの新しい工場に対する地元住民の素晴らしい受け入れを直接確認することができました」。

 「皆さんもご存じかと思いますが、現在の日本とスペインの関係は、安倍晋三総理とマリアーノ・ラホイ・ブレイ首相の間で締結された“平和と成長とイノベーションのためのパートナーシップ”という枠組みのなかで進展しています。この協定は両国の距離を縮め、ともに経済成長を図るための戦略でありますが、そのためには両国の企業間の協力と新しいテクノロジー、知識、イノベーションを両国で共有することが基本となっています。今回のゲスタンプと三井物産の共同事業の例がその1つであります。日本とスペインの間で強い協力関係が存在し、相互理解があることを示したものであるほか、新たなビジネスチャンスが生まれることを示していると思います」と語った。

Car Watch,深田昌之

最終更新:6/15(木) 17:45
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